6.るぅと》Corruption ページ12
Corruption…腐敗
「A、A…」
『るぅとく…』
暗い部屋の中、熱く深いキスを交わしている二人がいた。
世の中に絶望し、薬に手を染めた彼女。
身体中を蝕まれ、指と爪の間からは少し血が滲んでいるのが分かる。
痛々しい傷だらけのお人形さん、のよう、な…
「A…好きです…大好きです…」
『んん…』
どこを向いているのか分からない目。
それでも相手を愛しく感じ合っている。
「あんた達!何をやっているの!!」
音を立てて開いたドアからは、二人が恐れた大人たちが立っていた。
ふたりはお互いを強く抱き締め合った。離さないように。強く。強く。
『嫌!離して!離してよ!!』
「やめて!僕たちを離れ離れにしないで!」
必死に抵抗するが、大の大人に勝てるわけがなかった。
「あんた達のためなのよ!さっさと離れなさい!」
大人たちが言っていることは正しい。
でも、ふたりは自分を制御することが出来なかった。
ふと、大きな鏡に写し出される自分と彼女を、るぅとは見た。
あれ、誰…?
るぅとは混乱していた。
さっきまであんなに美しかった彼女が、ドロドロになっている。
でも、狂うほど愛おしいのは変わらなかった。
「いい加減にしないか!るぅと!」
「お父さん…!」
___________
____
__
目が覚めた時、るぅとは何も考えられなかった。
身体中が痛い。目眩もする。何もしたくない。食欲もない。
自分の体を見ると、手錠をかけられていた。
このままでは何も出来ない。
でも、それでもいいと思えた。
・
食事を運ばれ、食べさせられると、必ず注射を打たれた。
薬 物中毒の症状を抑えるためのものだ。
それでも何も感じなかった。
Aがいないから。
精神状態が悪かったるぅとは、どんどん痩せこけていった。
前にある大きな鏡に目を向けると、居るはずのない、ドロドロになった彼女がいた。
幻覚だろうか。でも、幻覚だろうがなんだろうがどうでもいい。
あの時と同じように、またAと愛し合いたい。
一緒に堕ちていこうよ。ふたりなら、怖くない。
「A、愛してます」
・
大沼パセリ様の、Corruptionという曲で書かせていただきました。
コメント欄を参考にして、こんな感じかなーと。
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つな(プロフ) - 初めましてリゼ様。よくリゼ様のお話を拝見させていただいております。勝手ながらリゼ様の作品の「好きだからこそ。」のパスワードを教えて頂くことは可能でしょうか?私はあの作品が一番好きでもう一度見たいなと思いました。ご返答のほどよろしくお願いいたします。 (2022年4月3日 0時) (レス) id: ec66146735 (このIDを非表示/違反報告)
超琉焦凍 - コメント失礼します!!!初めてリゼさんの作品読ませていただきました!めちゃめちゃ好きです! (2020年12月1日 23時) (レス) id: 84677e6647 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ヤンデレ大好きなので嬉しいです!!!素敵な作品をありがとうございます!作者様のペースで更新頑張ってくださいね! (2020年11月24日 11時) (レス) id: f2ae236c6d (このIDを非表示/違反報告)
る こ 。(プロフ) - 更新楽しみにしてました!忙しい中ありがとうございます!文才凄すぎてほんとに尊敬です。。 (2020年10月22日 9時) (レス) id: 4c135e03fd (このIDを非表示/違反報告)
リゼ@純粋少女(プロフ) - 莉音さん» いえ、実話を「元」にして作ったので、ころんくんはただの登場人物です。ころんくんではありません (2020年8月20日 18時) (レス) id: 411bfd759c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リゼ@純粋少女 | 作者ホームページ:見てみたくないうぉううぉう?
作成日時:2020年6月26日 18時