【募集企画】怪異探偵部４【小説】 (ページ47)

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第197話【恐怖】《藤崎紅華》ページ47

「先輩、こんな所進むんすか？」

綾田が不機嫌そうに言った。

「我慢しろ。
もう少しで目的地だから」

紅華と綾田は地下の下水道を進んでいた。
瘴気が充満しているのに加えて、匂いがキツかった。

「うぇっ、このままだったら、匂いが制服に染み込むッス…」

「文句を言うな。
…？
おい、止まれ」

「何!?
何かあったんすか!?」

「声が大きい!!
敵にバレるぞ!!」

と、紅華は小声で怒鳴った。

紅華は曲がり角から向こう側を窺った。

『…あれは…天野さんと姫羅？
それに、あの二人は誰だ？
何で天野剣夜が姫羅と一緒にいる？
敵じゃないのか？』

紅華はそう考えながら、首を引っ込ませた。

「藤崎先輩、どうするっすか？」

「私が敵を引きつける。
そのうちに、姫羅と天野さんを」

「了解っす。
でも、なんで天野剣夜まで？」

「どうやら事情が違ったようだ。
そして、二人の安全を確保したら、上にいる真鈴達に合流しよう。
ここじゃ、分が悪すぎる」

「分かりました」

「じゃあ、行くぞ」

そう言うと、紅華は曲がり角から飛び出すと同時に、炎の羽を投げた。
炎の羽は消えたと思いきや、時間差で炎が空中に広がった。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

反応したのは天野幸子だった。
紅華は走りながらスパイクを装備し、すぐさま炎の中に飛び込み、スパイクに纏わせて、敵の前で薙いだ。
その後、そのままスパイクで刀夜の腹を殴った。
更に、綾田も敵が紅華に注目すると同時に、糸を繰り出して、二人を手繰り寄せた。
そして、炎が消えると、天野幸子は完全に恐怖し、天野刀夜も不安を感じている様子だった。

「姫羅、大丈夫か？」

「う、うん…
それより紅華、今のは…」

「ブルータル・テイクダウン…。
インドで開発された威嚇攻撃だよ」

と、天野剣夜が代わりに答えた。
紅華は天野刀夜に近づくと、ナイフを首筋に当て、言った。

「おい、一宮さんをどこにやった？」

「ふふふ…空き地のところだよ…。
丁度、グール達が監視しているだろう…」

天野刀夜は笑いながら言った。

「グールだと!?
下手したら、一宮君は食い殺されるじゃないか!!」

天野剣夜が叫んだ。

「安心しろ。
食わないよう指示は出してある。
さて、そろそろ俺達は行かなくてはな。
お陰でいい時間稼ぎが出来た」

「貴様…!!」

「滾るな、藤崎紅華。
地上で会おう」

そう言って、敵二人は煙に紛れて姿を消した。