【募集企画】怪異探偵部４【小説】 (ページ22)

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第172話【発狂】《藤崎紅華》ページ22

話は静観ということで片付いた翌日。
臥玖達のクラスは人間科学―生物基礎の中でも細胞の構造や免疫についての分野である―の授業だった。
臥玖はミトコンドリアの中にあるDNAについてのレポートを書いていた。
彼女はチラリと隣を見た。
彼女の机の1列開けて隣では、山田弥生が机に座っていた。
彼女の顔色は明らかに悪かった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

その頃、紅華のクラスでは数学の授業で、積分についてやっていた。

「…分からん」

紅華は冷や汗を浮かべていた。
基本問題は出来るが、応用となってくると話は別である。

「…ここはね…こうして、こうして、こう解くんだよ」

「なるほど、さすがは姫羅だな。
理系の出来る文系は違うよ」

姫羅と紅華はクラスメイトである。
紅華が分からない数学などの問題に直面した時に、よくアドバイスを貰っていた。

「そんなことないよ。
紅華に分からないところを教えてもらってるし。
お互い様だよ」

などとほのぼのとした会話を繰り広げていた時だった。

「キエアアアエエエエアアアアアアアアアア」

と、奇妙な叫び声が聞こえた。
教室がザワつく。

「おい、なんだ今の奇声。
うちの学園にカンフー使いなんていないぞ」

「女の子の声だったよね」

「女の子でカンフー使い…。
ますますありえんな」

「１回カンフー使いから離れなさい」

という会話をしていると、今度は教室の横の廊下を、猛ダッシュで女の子が通り過ぎた。
やや遅れて、この学園の生物の先生が追いかけている。

「…カンフー使いかと思ったらターボババアだったな」

「ババアじゃなくて女の子なんだけど。
ていうか、あの子…山田弥生ちゃん…だよね？」

「そうなのか？
知らなかった」

「アンタはもう少し周りに興味を持ちなさい」

姫羅は呆れて突っ込んだ。
しかし、二人の不安はこの会話で拭えなかった。
弥生を見た時、二人は明らかに嫌な感じがしたのである。