誤解 ページ49
「嘘…でしょう……?」
私は額を押さえる。
まさか、それなのか、それなのだったのか、カイラ様。
── 昨日はすき焼きを食べて、気分が良かったからというのもあるが、これ以上大ガマ様がお酒を飲まないように、…褒めまくっていた気がする。
それで、今日の朝も機嫌が悪かったの!?
「カイラ様、一体……いつからいらっしゃったのですか」
「Aがすき焼きを泣きながら食べている所からだ」
風神と雷神に押さえられて、静かに写真を取り出して、そう言うカイラ様。
写真には感動の涙を流しながら、すき焼きを食べる私が写っている。
写真をなぜ撮っているのかよく分からないけど。
序盤、序盤すぎるよ!!カイラ様!!
それはもう話しかけてくださいっ、カイラ様!!
「Aは大ガマと共に本家屋敷に入り…それ以降は見ていない」
風神と雷神がマジで?みたいな顔で私を見るので急いで付け加える。
「いえ!!本家軍の方と勝負をしただけです」
カイラ様は切なげにしている。
いや、カイラ様…えぇ〜…
風神と雷神に視線を移せば、同じ気持ちなのか、困っていた。
「か、カイラ様〜、もう〜、カイラ様が妖魔一、オシャレに決まってるじゃないですか〜!!男前で、頼れる上司〜!さあ風神も雷神も〜!」
え?と不思議そうに見ていた二人だが、乗ってくれた。
「「頼れる上司〜」」
「カッコイイ上司〜!」
「「カッコイイ上司〜」」
私は「きゃ〜!!カイラ様!妖魔一のイケメン!」と締めくくった。
❀
カイラ様の落ち込みモードは回復し、髪をサラッとかきあげていた。エフェクトがつきそうなぐらい、輝いている。普通にカッコイイ。
「七賢者の会議に行ってくる。頼んだぞ、お前達」
私達は頭を下げ、カイラ様を見送った。
カイラ様が会議室に入っていた事を確認して、風神と雷神と顔を見合わせる。
「今日のカイラ様は何かに取り憑かれていたのか?」
「いや、風神、取り憑かれている気配はなかったぞ」
「カイラ様は激務でお疲れ…いや、嫉妬深いから、風神、雷神もカイラ様の前で他の妖怪、褒めちゃダメだよ」
「うむ…気をつけよう」
「あぁ、我らが尊敬するのはあの方のみ」
私達は頷いた。
─── カイラ様
「A、お主が一番気をつけよ」
「人間と妖怪、一番関わりが多いのはAだろう」
「面目ないです…」
私は風神と雷神に静かに頭を下げたのだった。
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