試されている ページ43
私は答えを間違えてしまったのだと焦った。
カイラ様は今、私の忠誠心を試していたのだ。
結婚や付き合い、恋愛にうつつを抜かすことなくカイラ様に仕えられるかどうか。
カイラ様は相当ショックだったのだろう。顔が真っ青だ。
「カイラ様、いつかはしたいと言いましたが、それは恋愛脳になり、仕事を疎かにするという意味ではなく…」
カイラ様は余計に青ざめる。
私はもうこれ以上悪くなる前に話題を変えることにした。
「カイラ様!!フウくん、ライちゃんの食事です!!はい!!できました!!行きましょう!!」
カイラ様の背中を押して、席に座ってもらう。
「フウくん、ライちゃん〜!食事の準備できましたよ〜!」
その途端ものすごい音がして、扉が開いた。
「やっとゴハンを食べられる!」
「お腹がペコペコだったぞ!」
「はい!ではみなさん席に座ってください〜」
カイラ様に視線を向けると、カイラ様は顔を上げて「いただこう」と言う。
その合図で私達は食事を始めたのであった。
❀
「やっと今日の分が片付きましたね」
「あぁ」
カイラ様を見ると、いつもと変わらない様子。
良かった…。
私は安心しつつ、荷物を持った。
「では私は帰りますね。カイラ様、今日は執務室のソファではなく、ベッドで寝てくださいね」
「あぁ、分かっている」
フウくん、ライちゃんにも挨拶をし、
「お疲れ様です、お先に失礼します」と言い、鏡に入って閻魔宮殿入口まで飛ばされる。
「ん〜、今日も仕事終わった〜」
腕を伸ばしながら歩く。
今日の夜ご飯どうしよう。しもふり特選すき焼きでも食べに行っちゃう?
うーん!!贅沢すぎるっ!!ドキドキしてしまう!!
柔らかいお肉に甘いタレと卵が絡んで…
「まずい…こんな夜遅くに食べちゃうなんて…私ってば、罪深いわ…」
いや、食べちゃおう!
「すき焼き〜!すき焼き〜!」
少し軽い足取りで、お店に向かった。
「ん〜!!おいしい…あぁダメだ幸せすぎるっ!!」
とろとろのお肉が口の中で溶けて喉をするりと通るのを感じる。感動で涙が。
「A様、泣いちまったのかい!」
ホンマグロ大将がそう言うので、私は何度も頷く。
「幸せです…これからも通います…」
「なんだって!?横断幕でも掲げちまうか〜?」
こんなにホンマグロ大将が喜んでくれるとは。
私も嬉しくて、笑ってしまう。
「えへへ、横断幕ですか!?大袈裟ですよ〜」
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