幸せな時間 ページ41
エンマ様とぬらりひょん様が旅に出られてから一週間が経過した。
私達のいる閻魔宮殿内は大忙しである。
鬼王羅仙の被害は甚大だったため、その後処理でまだまだ忙しい。加えてカイラ様は新大王だ。エンマ様より引き継がれた仕事を覚えつつ、甚大な被害を修復していかないといけない。
「カイラ様、報告書です。確認後にこちらにサインを」
「あぁ、分かった。ではそこに置いてくれ」
私は正式にカイラ様の側近になった。
私も今まで人間庁だったため、側近がこんなに大変だとは思わなかった。
長くエンマ様を支えてきたぬらりひょん様には頭が上がらない。
「フウ、ライ」
そして、新たなメンバーが。待っていました!
カイラ様の片腕───風神のフウくんと雷神のライちゃんである。
この2人がこれまた可愛くて激務の中の癒しである。
そしてシャドウサイドになるともう絵面が豪華!御三方で並ばれると胸きゅんものである。
「カイラさま〜!妖魔界のシサツからもどりました!」
「カイラさま〜、ホウコクショはこちらにございます!」
「ご苦労だった、そこに置いてくれるか」
「あいわかった!」
なんて愛らしい空間なのだろう。
私が胸を押えていると、手が止まっている、とカイラ様から注意を受けてしまった。
いけない、いけない。
「A、おなかがすいてないか?」
「われらと同じなのか?力が出ないのだ〜」
私は空いてはいるが、まだ我慢できる。
けど…フウくん、ライちゃん…可愛い……
「……カイラさま、お腹が空きました」
カイラ様を見つめると、カイラ様は眉を下げて椅子から立ち上がった。
「はぁ…分かった、今から用意する」
その様子を見て、三人でそれぞれ喜んだ。
何故か大王様に食事を用意してもらうという贅沢な側近達である。
しかし、さすがにおひとりに任せる訳には行かないので、私も立ち上がりカイラ様の後を追った。
「カイラ様」
「Aか、先程から休んでいないだろう。休んでいろ。食事を終えたらまた仕事だ」
「カイラ様はいつ休憩を?食事の時間だけですか?なら私もそうします!」
カイラ様は私に視線を一度向け、また前を向いた。
「そうか。言ってもA、お前は着いてくるのだろう。休んでいればいいものを…」
「私はカイラ様の傍に居られることが幸せなのでいいのです。この時間も私にとって大切なんです」
カイラ様の嬉しそうな横顔を見るだけで胸が温かくなる。
幸せだった。
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