花は咲いた ページ38
「…はい!はいっ…謹んでお受けいたします」
嬉しくて、ずっと追いかけていた。
そしてこれからはカイラ様のそばを離れる事はないのだ。
「Aっ…、喜び過ぎだ。嬉しいが少し落ち着け」
「こんな素敵な喜びを抑えられるわけがありません!!私、今すぐ退院出来ます!!」
立ち上がろうとする私を全力でカイラ様が押さえてくる。
「頼むから……!落ち着いてくれ!」
「カイラ様、離してください!」
嬉し涙は止まらないし、胸の高鳴りが治まらない。
「カイラ様はこれから沢山の妖怪に愛され、名君として君臨するんです!楽しみで嬉しくて、幸せで……私こんなに幸せでいいんでしょうか……」
「はぁ……A、本当にお前は……どうしてそんなに真っ直ぐでいられるんだ。本当にとりあえず落ち着け、そして涙を拭いてくれ」
カイラ様は呆れたようにハンカチを差し出すので、私は受け取り涙を拭いた。
そして、カイラ様を見て、頬が緩んだ。
「カイラ様のお戻りをずっと心待ちにしておりました。あぁ…うれしいっ…」
ハンカチで顔を隠す。
すると、カイラ様から優しく頭を撫でられる。
「A、私もAと会えたのがとても嬉しい。愛おしすぎておかしくなりそうだ」
「え?」
今カイラ様とんでもないこと言った?
私が固まると、カイラ様は気にせず私の頭を撫でたまま続ける。
「A、私は嫉妬深いから、他の者を褒めるなんてことをしたら激しく嫉妬する。覚えておく事」
「はい!胸に刻んでおきます!カイラ様の側近としての心得ですね!」
「それもあるが……まだいいか」
カイラ様は私から離れて、優しく微笑んだ。
私も嬉しくて笑う。
貴方が笑ってくれれば、私も嬉しくなる。
カイラ様が苦労した分、幸せがこれから沢山カイラ様に訪れますように。
自分の罪を認めて反省し、真っ直ぐ進む努力をする方───カイラ様はやっぱりすごいお方だ
❀
私は三日後退院した。
そして、エンマ様が褒美をくれるということなので。
「ゲソヒゲール大臣の無実を証明したいのです。その協力をしてくださる事を私の褒美にして欲しいのです」
カイラ様は長いまつ毛を揺らして驚く。(昔よりも美しさが神がかってる。ありがとうございます!)
エンマ様は「Aらしいな!だから好きなんだよな〜」と言ってくださったが、私は小さな汗を一粒流した。
カイラ様、エンマ様のこと地雷なのまだ治ってないんだ…。
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