あなたの指先 ページ37
「大丈夫だ。解決した。妖怪ウォッチに選ばれた者たちとな」
エンマ様は私を安心させるように言った。
「俺達のこともそうだが……A、ムゲン地獄ではよく頑張ったな！！さすがだな！！」
頭に手を伸ばされ、髪を強めにわしゃわしゃと撫でられる。
「わー！ちょっとエンマ様！！
……えっと、頑張れたのは土蜘蛛様と大ガマ様、エンマ様の護衛部隊の方々のおかげです。特に！私に合わせてくださってとても戦いやすかったです。さすがエンマ様の特殊護衛部隊ですね！！」
少し興奮気味に言うと、目を細められる。
「…なぁ、A。このまま俺に──」
エンマ様の声を遮るように勢いよく扉が開いた。
「っ！」
私は目を見開いて固まる。
エンマ様はニコリと笑って席を立った。
「よし！A、今回の褒美考えておけよ〜じゃ俺は一旦帰るとするか！」
「エンマさ…！」
エンマ様は直ぐに病室を出て行ってしまう。
どうしよう。気まずい。
何を話そう。
「カイ──」
言葉を開く前に、強く抱きしめられる。
「…！？カイラ様っ！？えっ、えっ……」
「A、すまなかった。今まで沢山傷付けてしまった」
ゆっくり解放され、カイラ様を見上げる。
カイラ様の眉は下がっている。
もう私を拒絶しそうにはなさそうだ。
「っ、カイラ様っ……私の方こそ申し訳ございませんでした」
カイラ様に会えたこと、話しかけてもらえたこと、謝る機会があったこと。
全てが嬉しかった。
「Aは何も謝ることは無い。全て私が至らないせいだったのだから。
そして、Aに伝えなければならないことがある」
カイラ様の長い指が私の両頬に触れ、包み込む。
少し密着されてる気がするが……気のせいだろうか。
「あ、あのっ、カイラ様、顔が……近くて……」
「以前はAの方がよく近づけていたでは無いか。
…んんっ、実はあれから私は正式にエンマから大王の座を託された」
カイラ様は少し嬉しそうだった。
「っ！本当ですか！
それはおめでとうございます！！カイラ大王様ですね！」
私も両腕を上げ、喜ぶと笑われる。
「相変わらずだな、A。…そこで伝えたいことというのは…私の側近になってくれないだろうか」
「え…？
──っ！それは…嘘では無いですよね？」
「あぁ、本当だ」
私はあまりにも嬉しくて、胸が締め付けられて、涙が止まらなかった。
今までずっと抱いていた夢がとうとう叶ったのだ。
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