聖君 ページ27
長い年月が流れていく。
エンマ様がぬらりひょん議長に結界で閉じ込められたと情報が入ってきた。
しかし───
「よっ!A」
「エンマ様、人間界に来られたのですか?」
「あぁ、妖怪と人間の交流を俺自身の目で見て、判断しようと思ってな」
エンマ様は相変わらず聖君だと思う。
完璧過ぎて心配になるけど…
「A、いつもみたいに漢方の押し付けはしねぇのか?」
「ふっ、もうしませんよ、エンマ様……と見せかけて!!はいっ!エンマ様!そんな貴方にふか〜い漢方をプレゼント!!」
「よしっ!ありがとな!A!!」
なんか子どもっぽいところもあるから安心する。
「ところでエンマ様、今の人間界はどうですか?」
「なかなか悪くねぇなって思う。まぁ、交流を続けることで悪影響もあるかもしれないが、その小さな点のみを見て全体を見ないのは視野が狭いと思うしな?」
「さすが、エンマ様。交流止めないでくださいね!頑張ってください!」
話していると、携帯が鳴る。
仕事のようだ。
「では、エンマ様、私はこれで」
エンマ様が手を上げるので、私も笑って頭を下げた。
❀
「カイラ様は今回は反乱を起こすのかな……」
自室の窓から雪が降る積もる様子をただ静かに眺める。
「カイラ様、お会いしたいです」
私の主はずっとカイラ様だから。
でも、カイラ様は私を受け入れてくださるだろうか。
『裏切ったのか!!A!!エンマに絆されたか!!』
邪気に染まっていたとはいえ、あぁ言われてしまったから、正直少し怖い。
…カイラ様はずっと地下牢で独りなんだ。
胸が締め付けられ、悲しくなる。
本来であれば二千年のところを百年…かなり短い方だ。
「俺の友達!出てこい!!A!!」
突然召喚の輪が頭上に!
「ケータくんからだ!!」
私は急いで飛び込んだ。
水色の輪に飛び込むと、ケータくんが必死そうな顔をしていた。
「ケータくん?」
「A!!」
私は目の前の妖怪を見る。
「グレるりんさん」
「あ〜?何見てん…って…A姐さん…じゃねぇか!」
「お久しぶりです。最近お会い出来なくて心配していました!人間界には慣れましたか?」
そして、グレるりんさんと話をし、妖怪バトルをすること無く、問題が解決したようだった。
「またいつでも困った事があれば私を頼ってくださいね」
そう言うと、グレるりんさんは頷いてポフンと音を立てて消えた。
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