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今日の運勢は良いみたい ページ15





ゆっくり手を引き寄せられ、丁寧に頬をハンカチで拭かれる。
私は顔を上げてカイラ様を見る。


するとカイラ様は私の顔を見て少し笑う。



「……ひどいです。傷つきました」
「泣いているのかと思ったが、ぽかんと口を開けているものだからつい笑ってしまった」



私は口を閉じて、ゆっくりカイラ様から離れた。
そして濡れた服の袖で精一杯顔を隠した。



「なぜ隠す必要がある?」
「カイラ様にこんなボロボロの姿は見せられません」
「構わない。私は何も感じない」



それはそれで悲しいけど、カイラ様なりの気遣いな気がする。私はゆっくり腕を下げて、救護室に向かう事を伝えた。



「私も行こう」
「え?どうしてですか…?」
「たまたま救護室に用があるだけだ。勘違いするな」



カイラ様は私の手を引くので、カイラ様と一緒に歩く。
無意識にカイラ様に支えられながら歩いていることに途中で気づいた。手も震えていたが、救護室についたころには震えも止まっていた。


カイラ様の手は温かかった。




救護室に着けば、カイラ様は入らずにすぐに背を向けて行ってしまった。やっぱり私のために…。
そう思うと嬉しくて堪らなかった。


こんな目にあったけど、今日ってなかなか良い日なのかもしれない、なんて考えてしまった。










「…今日は機嫌が良いな」



森で揚げたてのさつまいもの天ぷらを食べていると、カイラ様も天ぷらを箸で取り皿に置いたあと、口を開いた。




「え?やっぱり気づいちゃいましたか〜?」





えへへ〜と私は笑ってさつまいもの天ぷらを頬張り幸せに浸る。





「今日は散々な一日だっただろう。…攻撃してきた奴らが誰だかは分かっているのか?呑気に天ぷらを食べている場合なのか」
「だいたい予想はついています。だから大丈夫です。明日、ガツンと言うつもりです!」
「……そうか」



カイラ様は静かに天ぷらを口に入れる。



「どうですか?おいしいですか?」
「……悪くない」
「悪くないって……ふふ、ありがとうございます」



カイラ様、悪くないって言ってるけど、箸が進んでいるのを見ると美味しんだ、良かったと安心できる。





「……今日、本当は嫌な一日になりそうだったのですが、カイラ様が支えてくださったのが嬉しくて、機嫌がいいんです!」

「…Aを理解するのに百年は掛かる」





カイラ様はすぐに顔逸らした。
でも今回はすぐにわかった。カイラ様、照れてる。
耳が真っ赤だから。

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年3月4日 8時

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