勘違いのキセキ ページ14
「気づかなかった!!」
その瞬間─── エンマ様が技を溜めて壁を破壊する
私は口をぽかんと開けたまま、崩れ落ちる壁を眺めることしか出来ない。
そして、煙が落ち着いて姿を現したのは大きな鏡妖怪──
「ヤミ鏡…?」
「チッ…バレてしまったから退散するしかねぇな!」
「させるか!」
エンマ様は直ぐヤミ鏡に近づいた。
「A、コイツは物理攻撃だ!」
「はい!!エンマ様!!」
私も木刀を取り出して飛びかかった。
❀
「さすがエンマ様!Aもすごいね!」
「あはは……ありがとう…」
クラスメイトからちやほやされるが私は冷や汗が止まらない。
たまたまイカカモネ議長の手下であるヤミ鏡が潜んでいたなんて。
私は本当に、何も考えずにオーラを感じるって言っただけで。
私とエンマ様は表彰されたが、先生から注意も受けた。
「やったな!A」
ニコリと笑い、ハイタッチを求めてくるエンマ様。
これを断ってもファンクラブの方に怒られるだろうし、受けても怒られる。
─── 仕方がない。
私は眉を下げて笑いながら、エンマ様に軽く手を合わせる。その瞬間、ファンクラブの方々の悲鳴が上がった。
これはまずい……
そして私の予想通り──
翌日から始まった。
「はぁ……普通に傷つくなぁ……」
廊下を歩いていたら突然、大滝の術をくらった。
「あぁもうっ!!結構痛いんですが〜!」
キーっと叫ぶと笑い声が聞こえてきた。
エンマ様のファンクラブだ。全く……民度が低いのではなイカ?
「はいぃっ!?次は雷神の術!?私を魂にするつもり!?」
髪の毛はボサボサだし、服もボロボロだ。
「エンマ様のファンクラブ恐るべし……」
まず救護室に向かって、着替えを借りよう。
私はしょんぼりしながら歩いていると、向こうからカイラ様が恐ろしい形相でこちらに歩いてくるのが見えた。
どうせ鼻で笑われる。
それに……こんな姿を見られるの正直恥ずかしかった。
私はカイラ様に背を向けて走り出す。
見られたくない。いやだ。恥ずかしい。
「待て!」
「嫌です!!」
カイラ様が追いかけてくるのがわかる。
いつもであればこちらから向かうのに。
今の自分があまりにも惨めで、こんな事をされているのがカイラ様に知られるのが嫌だった。
「待てと言っているだろう」
腕を掴まれ、私はすぐに顔を逸らした。
しかし、カイラ様は離すつもりはないらしい。
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ