Sweet holidaY ＊S.Yasuda＊ (ページ10)

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初めて。ページ10

章「っ…どしたん？」

あ「章ちゃんもドキドキしてよ…」

章「え？」

あ「私ばっかりドキドキして…ズルいもん」

章「…アホやなぁ」

章ちゃんはフッと笑うと私の手を取って自分の胸に押し当てた。

ドクドクと彼の心臓のリズムが私の手を伝う。

章「な？速いやろ？」

あ「うん…」

章「Aちゃんとおると、ずっとドキドキしっぱなしなんやで」

確かに、そう言う彼の顔は少し赤いような気もする。

それが嬉しくて赤い頬を指で撫でると、少しくすぐったそうに笑った。

あ・章「「ねぇ」」

何の前触れもなく発したはずの声が、彼と被った。

章「んはっ(笑)なぁに？」

あ「章ちゃん先にいいよ」

章「んーん、Aちゃん先に言って」

あ「……ギュッてしてもいい？」

章「…俺も同じこと言おうと思ってた(笑)」

そのままギューッと抱きしめてくれて、

章ちゃんの匂いと体温に包まれて、私の中が彼でいっぱいになっていく。

章「Aちゃん…」

呼ばれて少し顔を上げると至近距離で目が合って…数秒見つめ合った後、唇が重なった。

章「…ベッド行こ？」

その言葉の意味は、考えなくても分かるから「なんで？」なんて意地悪は言わない。

あ「…うん」

私の太ももの下に手を入れて、そのまま私を抱きかかえながら立ち上がった。

すごい筋力。

そのまま寝室のドアをくぐり、ベッドに優しく降ろされる。

そして首筋に顔を埋めようとした彼の肩をトンっと押してそれを制止する。

不思議そうな顔でこっちを見つめる瞳に、消えそうな声で訴えかけた。

あ「章ちゃん…私っ」

章「…もしかして、初めて？」

察してくれて恥ずかしい気持ちと、

引かれたらどうしようっていう不安とで彼の目を見られない。