月が綺麗な夜に貴方と

せっしょく ページ8

ウォヌ先輩の小説のネタバレを試みる

「実は…」



『おい、ちょっと待て…！』


ウォヌ先輩が焦ってる

まあ、無理もない


読書家にとってネタバレは本当に最悪な事態だ

何としてでも防ぎたいだろう


「けいさつかんの…むぐ…」



私が言い切ろうとした時


グイッと頭をうしろに引かれた
足元にウォヌ先輩の読んでた本がバサリと落ちる


！？！



一瞬今の自分の状況が理解できてなかった



なぜなら



後ろからウォヌ先輩に手で口を塞がれていたから




…ち



近い…！！！


私の口を塞ぐ、細くて綺麗だと思ってた先輩の指は

意外と大きくて少しゴツゴツしてて



男の人の手だった



唇に手が触れてドキドキしてしまう



自分の頭がウォヌ先輩の胸元についてるから


先輩の心臓の音を感じる




足、背中、腕、ウォヌ先輩とくっ付いている所から先輩の体温がじんわり伝わって意識せざるを得ない



私の顔はもう真っ赤で


心臓なんかもうバックバクで



私のドキドキも全部先輩に伝わってるのかなと思う
とさらに恥ずかしくなる


男の人とこんなに密着するのなんて初めてで


一瞬の時間だったけど
私にはとてつもなく長い時間に感じた


先輩の方を見上げると
パッと手を離してくれた


『っごめん…つい。いきなり馴れ馴れしかったな』


ウォヌ先輩も自分のやった事に気付いたのか、顔が赤い


「だ、大丈夫です。私がネタバレなんてしようとするから…」



恥ずかしさで先輩のことが直視できず、つい下を見ながら話してしまう



私と先輩、二人しかいない店内に


沈黙が流れる



き…気まづい

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