月が綺麗な夜に貴方と

はつしごと ページ7

濃緑のエプロンをつけて後ろの紐をキュッと結んで気合を入れる


「よし、やるか…」


ウォヌ先輩から与えられた初仕事は店内の掃除




まずは床をきれいにする




バケツに入った雑巾を水から引き上げて絞って…ってあれ



ウォヌ先輩が用意してくれたんですけど


何で雑巾…


なんか古典的すぎません？



こうもっとほうきとか、モップとかだと思ってた…



絶対腰痛くなるやつ
まあ、初仕事だし頑張るしかないよね



30分くらいかけて床はピカピカになった
まあ、これはこれで達成感！！



って！！



「なんでウォヌ先輩掃除してないんですか！？」



私の床掃除で奮闘してた30分間、彼はずっと本を読んでいたらしい



『それくらい一人でできるだろ、
あ、あと次は本棚の整理な』


全部私一人でやらせるつもりだ…




「ウォヌ先輩も手伝って下さいよ〜」



『俺はこれを読むのに忙しいの』


本の表紙をヒラヒラと見せつけてくる



虫眼鏡と探偵帽のイラストが描かれた見覚えのある表紙


どんでん返しがウリな作家さんの探偵シリーズの小説だ、トリックが難しいと話題にもなってたっけ


この本なら結構前に読んだことがある


私は祖父のおかげで本が大好きになり、
ジャンルを問わず沢山の本を読んでいるので


本の知識なら誰にも負けない自信がある


「その本の犯人、分かりましたか？」


『トリックが巧妙だからまだ断定ができないな。

まあ、お前は冒頭の内容すら理解できないと思うけど』



この笑いは完全に私をバカにしてる笑いだ

私いつの間にバカキャラになったんだろう



今までの意地悪の仕返しだ！



「この小説の犯人はですね…」



『は？お前これ読んだことあるのかよ』



「実はですね…」

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