第281話 ページ38
戸惑ったように笑うソヒを横目に、
冷んやりした床に頭をつけながら
ボソボソと話した。
「大好きで、小さい頃から大好きで、
今でも毎日食べたいくらい好きで…。
それをある日食べたら、
喉の奥が変な感じがするの。
お医者さんはアレルギーだから、
もう食べちゃいけないって言うの。
そのまま食べてたら
いつかはもっと酷くなるから、
この程度の時にやめておこうって。
でも、どうしても忘れられなかったら？
大好きすぎて、
どうしてもまた食べたくなっちゃったら？
そしたら、どうする？」
最初笑っていたソヒは、何かを感づいたのか、
ただ私の暗い表情を見てか、笑顔を消して、
だけど柔らかい表情のままで悩み始める。
んー…と唸るような声を出していたソヒは、
しばらくしてそっと口を開いた。
「…我慢、しなきゃ。
アレルギーなんだもん。」
「…そうだよね。そう、だよね。」
アレルギー…。
それしかいい例えが思いつかなかった。
恋の他に、好きでも、
どうしても我慢しなきゃいけないもの。
我慢してみるけど、
大好きなままだから、
食べられないのが悔しいし、腹が立つもの。
だけど、誰も責められないもの。
納得せざるを得ないもの。
そうだよね、を繰り返しながら自嘲気味に笑う私に、ソヒは息を小さく吐いた。
そして雑誌を畳んで私の方に向き直ると、
優しい笑顔で言った。
「でもA、知ってた？
アレルギーって軽い所で止めといて
ずーっと食べないでいると、いつかは食べられるようになるかもしれないんだって。
もちろん、100%ではないけど…。」
そう言ってイタズラっぽく笑った。
もちろん、これはアレルギーの話で…。
でも、私にとっては希望だった。
暗かった目の前に、一筋の光が見えた気がした。
「いつかは…。」
そう呟く私にまた一度笑うと、
閉じた雑誌を開いて鼻歌を歌いながら眺め始めた。
私は床に横たわったまま、じっと考えていた。
それは、いつだろう。
誕生日、身勝手に電話で別れを告げた私。
あれからの私は、サンタクロースが去って行き、
取り残されたトナカイのようだった。
後ろにあるソリに、どっさりと積まれた
行き場のないプレゼントを背中に感じながら
ただただ立ち尽くすトナカイ。
プレゼントを配らなくちゃいけないのに、
それができない。
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Hinayeol(プロフ) - わーーん更新楽しみに待ってます！！ (2017年8月29日 0時) (
レス) id: 1db30c893b (このIDを非表示/違反報告)
どんちゃん(プロフ) - Hinayeolさん» Hinayeolさんコメントありがとうございます！もうすぐで更新する予定なので楽しみにしていただけるとありがたいですヽ(*'▽'*)ﾉ (2017年8月28日 23時) (レス) id: 32cc05fed0 (このIDを非表示/違反報告)
Hinayeol(プロフ) - チャニョリ〜早くくっついて (泣) (2017年8月28日 4時) (レス) id: 1db30c893b (このIDを非表示/違反報告)
どんちゃん(プロフ) - ritzさん» ritzさん、コメントありがとうございます。嬉しいです！更新頑張ります(*^^*) (2017年8月13日 23時) (レス) id: 7f2b0d3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ritz(プロフ) - いつも楽しみに更新待ってます！！これからもよろしくお願いします！ (2017年8月13日 20時) (レス) id: 38d97e9a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：どんちゃん | 作成日時：2017年7月31日 14時
