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私がついている嘘は、3つ。
ひとつは、首領(自組織)の本当の目的は、ポートマフィアと敵対している組織の情報を集め、襲撃の好機を探ることだという事。
ひとつは、太宰治を愛していないという事。
______ひとつは、本当は組織を辞めてポートマフィアに加入したいという事。
しかし、そんな事は叶わない。
幾らそんな夢をほざいても、私がポートマフィアの情報を流してきたという事実は変わらないのだから。
そして今日も、またひとつ罪を重ねる。
首領の執務室を出た私は、その足でポートマフィアの情報を保管している部屋に向かった。
ポートマフィアにだって、欲にまみれた愚か者は居る。
数年かかってやっと騙し取れたカードキーを使い、私は中へと侵入した。
中は、資料の入っているファイルやメモリーチップが沢山ある。
つまり、つい最近此処に誰かが来たのだ。
私は中心に置いてある机に目を向けた。
机の上には、1台のノートパソコン。そして、謎の番号が書いたメモだった。
「146825………何かのパスワード?」
「教えてあげようか?」
背後で、扉に鍵が掛けられた音がした。
聞き慣れた声に、私は振り向く。
「こんな所で何してるの?
_______________太宰。」
そこにあったのは、薄気味悪く微笑む太宰の姿だった。
私は全身に力を入れ、彼と向き合った。
恐らく、今の自分の表情を形容するならば、『きょとん』だろう。
何故ここに居るの?そう、純粋な疑問をぶつける。
「それは此方の台詞だよ。此処に入れるのは、幹部以上の……それも首領からキーを渡された人のみだ。君が入れるはずが無い。」
「………はあ、」
自分でもそう思う程わざとらしい溜息をつき、私は太宰に説明した。
自分がマフィアの諜報員である事、カードキーは首領から貰ったこと、仕事に必要な情報を調べに来たことを。
因みに、殆どが嘘だ。
私の言葉を聞き終えると、太宰は途端に納得した顔になった。
「真逆、君がマフィアの諜報員だったとは……流石の私も驚いたよ。」
「ごめんね、ずっと云えなくて。」
「仕方ないさ。守秘義務は誰にだってある。」
優しい口調に、吐き気と目眩がする。
これ以上この空間に居たくないと、私は逃げるように背後を向いた。
「どの資料を探してるのだい?私も手伝うよ。」
しかし、そう簡単には此奴から離れる事は出来ない。
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鈴蘭(プロフ) - こんるりさん» ぜひ参考にしてください!やっぱり中也カッコいいですよね←私は双黒推しですww貴重なご意見ありがとうございまーす!! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - 話の進め方が凄いなと思いました。参考にさせてほしいくらい!! 私は中也の話が良かったと思います。というか中也推しなんですけどねwww (2018年5月27日 18時) (レス) id: 5e0d07926f (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 今宵さん» 何を!仰っているのですか!!先輩に勝ってるなんて!!そんな、勿体無いお言葉を………(泣)受験勉強で時間ない中私の作品を読んで頂いていて本当にありがとうございます!!超応援してます!!またお話しましょう!! (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!新作も頑張っていくので、よろしくお願いします!(≧∇≦) (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
今宵(プロフ) - 完結おめでとう!初作品とは思えないクオリティ……負けました(笑)これからも頑張ってね! (2018年5月25日 20時) (レス) id: c22f6d85ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年4月28日 22時