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「中也。」
ポートマフィアに戻ってきた私は、何食わぬ顔をして彼に話しかけた。
振り返った瞬間、一瞬だけ顔を顰めた中也にドキリとしたが、動揺を悟られるのが1番不味い事は理解している。
「A、何処行ってやがった。」
「何処って、私は諜報員だよ?
諜報活動をしていたに決まってるじゃん。」
「あ、嗚呼…………」
焦りが顔に出ている。
私はすました顔をしているが、あまりにも中也が不憫だったので、直ぐに会話を本題に戻した。
「それより、帰ったらすごい状況になってた。手を貸す。だから話して。」
私の言葉に、彼は一瞬戸惑った。
そして、何かを思い悩んだような表情をしてから、話し始めた。
「ポートマフィアに、スパイが潜入している事が分かった。俺は其奴を追ってるンだ。」
「スパイ……?
私みたいな諜報員が、此処に?」
いかにも“有り得ない”というような表情をしてみる。
それは中也も同意見だったようで、急に神妙な顔つきになった。
「其奴がどんな莫迦かは知らねェが、ポートマフィアを敵に回した事を地獄の底まで後悔させてやるよ。」
「……………(怖っ!)」
あまりの迫力に思わず尻込みしそうになったが、取り敢えずこれで、『マフィアへの攻撃について知っている私』が完成した。
少しは自由に動けるようになる。
「具体的に何をすれば良い。私は諜報員だから、その手の仕事なら請け負うけど。」
「厭、良い。手前はその厄介な異能力で襲撃してきた敵を凍らせることだけ考えてろ。」
中也はそう云って、踵を返した。
私は、予想外の言葉に驚きを隠せずにいる。絶対に『スパイについて調べろ』と云われると思っていたのだ。
そんな中、中也がピタリと動きを止めた。
そして振り返って、あまり……否、かなり聞きたくなかった言葉を口にする。
「………って、太宰が云ってたぞ。」
「あ、はい。」
太宰が私に、遠回しに『何も行動するな』と云っているって事は………
「……死んだかも。」
既にバレている気しかしないのであった。
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鈴蘭(プロフ) - こんるりさん» ぜひ参考にしてください!やっぱり中也カッコいいですよね←私は双黒推しですww貴重なご意見ありがとうございまーす!! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - 話の進め方が凄いなと思いました。参考にさせてほしいくらい!! 私は中也の話が良かったと思います。というか中也推しなんですけどねwww (2018年5月27日 18時) (レス) id: 5e0d07926f (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 今宵さん» 何を!仰っているのですか!!先輩に勝ってるなんて!!そんな、勿体無いお言葉を………(泣)受験勉強で時間ない中私の作品を読んで頂いていて本当にありがとうございます!!超応援してます!!またお話しましょう!! (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!新作も頑張っていくので、よろしくお願いします!(≧∇≦) (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
今宵(プロフ) - 完結おめでとう!初作品とは思えないクオリティ……負けました(笑)これからも頑張ってね! (2018年5月25日 20時) (レス) id: c22f6d85ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年4月28日 22時