Three:双黒の場合 ページ32
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耳を傾けて聞こえてくるのは、悲鳴、悲鳴、悲鳴。
誰も彼らには逆らおうとせず、唯ひたすらに懺悔と命乞いを繰り返す。
そんな『最恐』と、私は何故か一緒に襲撃に来ているのだ。
「ねぇ、私は必要?」
「必要ねェだろ。」
「え〜、でも中也とふたりきりは華がないから嫌だなぁ。」
主に中也がばったばったと敵をなぎ倒し、おこぼれは太宰が蹴り飛ばす。
私は異能力を使って静止させてから、撃つ。
まず、何故こんな状況になったのかが分からない。
私、Aは、ポートマフィアに潜入するスパイであり、襲撃を掛ける実働部隊とはもっぱら無縁なはずなのに。
「意味が分からない。本当に。何でこんな事に。」
「文句ばっか云ってンじゃねェぞ。」
銃口を向けてきた敵の頭を掴み、引き金を引く前に強制的に目を合わせる。
その間も、私はまた溜息をついた。
もうすぐ襲撃作戦が始まるというのに。
罪悪感が募るばかりなので馴れ合いたくないのに。
楽しいと感じてしまっている自分に、とてつもなく嫌気が差していった。
「今日はやたらと溜息が多いねぇ。恋煩いかい?」
「なわけないでしょ。」
所々挟まれる、太宰のうざったいジョークにも、真面目に返す気になれない。
もう時期、組織は壊滅する。
改めて双黒の恐ろしさを思い知る。
「……絶ッッ対、敵に回したくない。」
「ふふふ、ありがとう。」
「俺だって手前を敵に回すのは御免だ。手前の静止の異能は厄介だからな。」
『敵に回したくない』
これが後に盛大なフラグになる事を今の私は…………
(嗚呼もう、仕事辞めたい。此奴ら敵に回すなんて首領(自組織)莫迦なんじゃないの。)
…………既に嫌という程理解していたのだった。
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鈴蘭(プロフ) - こんるりさん» ぜひ参考にしてください!やっぱり中也カッコいいですよね←私は双黒推しですww貴重なご意見ありがとうございまーす!! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - 話の進め方が凄いなと思いました。参考にさせてほしいくらい!! 私は中也の話が良かったと思います。というか中也推しなんですけどねwww (2018年5月27日 18時) (レス) id: 5e0d07926f (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 今宵さん» 何を!仰っているのですか!!先輩に勝ってるなんて!!そんな、勿体無いお言葉を………(泣)受験勉強で時間ない中私の作品を読んで頂いていて本当にありがとうございます!!超応援してます!!またお話しましょう!! (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!新作も頑張っていくので、よろしくお願いします!(≧∇≦) (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
今宵(プロフ) - 完結おめでとう!初作品とは思えないクオリティ……負けました(笑)これからも頑張ってね! (2018年5月25日 20時) (レス) id: c22f6d85ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年4月28日 22時