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「君、見ない顔だね。新入りかい?」




ぶつかってない方のもう片方の人、身体中に包帯を巻いた奇妙な人がそう聞いてきた。


この空間に居る以上、誰であっても上司なので、丁寧に答えようとしたら________




「とても美しい、私と心中してくれないかい?」


「は?」




予想の斜め上を行った言葉に、耳を疑った。


心中……とは、一緒に自 殺しないか、という事だろうか。確かに分からなくもない。




「1人で死ぬより誰かと死にたい………って事?」


「ん?う〜ん………うん。」


「何その濁し方。」




個性的とは少し違う、不思議な雰囲気を纏ったその人に敬語を使う気は一瞬で失せた。



どんな役職の人か知らないけど、諜報員の私が長時間誰かと話すのは不味いんじゃないのか。



そう考えていると、包帯の人と小さい人が何故か喧嘩を始めた。




「手前は女を見る度に心中に誘うんじゃねぇ!!」


「いいじゃないか。逆に君のように女っ気が無いのも如何かと思うよ、蛞蝓。」


「いっ!……まは関係ねぇだろそんな事、俺は周囲に迷惑かけンなっつってんだよ青鯖!」


「掛けてないよ。」


「何処がどういう風に掛けてねェんだ5文字以内で説明しやがれ。」


「ゆ・う・し・ゅ・う」


「……………」




何やら、コントを見ているようで楽しかった。



黙ってしまった蛞蝓(仮)とそれをニヤニヤと見下ろす青鯖(仮)。



私は、この場から去るタイミングを考えていた。




「あ、じゃあ私は用事あるから失礼するね。それと名前聞いてもいい?」


「ああ……私は太宰治、ポートマフィアの幹部だよ。ほら中也も。」


「…………中原中也だ。」




太宰と中也。覚えた。


私は2人に背を向けて歩き出した。そして、振り返って云う。




「Aです。今日からポートマフィアの一員だよ。よろしくね。」




初めて、気を許せる人に会えた気がする。



数歩歩いてそう思った。そこでひとつ思い出し、また振り返った。




「太宰、心中は私が死にたくなったらしようね!」

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鈴蘭(プロフ) - こんるりさん» ぜひ参考にしてください!やっぱり中也カッコいいですよね←私は双黒推しですww貴重なご意見ありがとうございまーす!! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - 話の進め方が凄いなと思いました。参考にさせてほしいくらい!! 私は中也の話が良かったと思います。というか中也推しなんですけどねwww (2018年5月27日 18時) (レス) id: 5e0d07926f (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 今宵さん» 何を!仰っているのですか!!先輩に勝ってるなんて!!そんな、勿体無いお言葉を………(泣)受験勉強で時間ない中私の作品を読んで頂いていて本当にありがとうございます!!超応援してます!!またお話しましょう!! (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!新作も頑張っていくので、よろしくお願いします!(≧∇≦) (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
今宵(プロフ) - 完結おめでとう!初作品とは思えないクオリティ……負けました(笑)これからも頑張ってね! (2018年5月25日 20時) (レス) id: c22f6d85ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年4月28日 22時

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