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睡眠薬で眠ってしまった彼女を抱え、私は資料室を出る。
そうそう、メモも忘れないように持って行かないと。
見下ろせば、涙を溜めた彼女の整った顔が目に入る。
これだけが、私の望んだことだ。
彼女が二重スパイだと知った時、私には首領に報告をするという選択肢はまるっきり無かった。
漬け込み、弱みを握って、そして私の側に置いておくつもりだった。
今が、その時という訳だ。
誰にだってある、命の執着。それだけで大抵の事は脅しにかける事ができる。
それが駄目なら、今度は精神的に追い詰める。
それでも駄目なら、快楽に溺れさせる。
自分に染まった彼女の姿を想像し、今から口角が緩んだ。
………そんな時。
「オイ太宰」
背後から、大嫌いな人物の声が聞こえた。私は振り向かずに声だけで答える。
至って普通に、興奮を悟らせないように。
「何、中也。私今急いでいるのだけど。」
「Aどうしたんだよ、具合が悪いのか?」
そう、心配したように声を掛けてくる。
私はひとつため息を吐き、くるりと振り向いた。
「そう思うなら引き止めないでくれる?今忙しいんだってば。」
中也は何か云おうとしていたが、私の言葉にそれを飲み込んだので、無視して踵を返した。
「彼奴にお大事にって云っとけよ!!」
「…………」
やっぱり中也は莫迦だ。
Aが体調不良で倒れた、なんて一言も云ってないのに。
勘違いしてくれる分には有難いので、訂正などしない。
これで、邪魔する者は居なくなった。
私が求めた、『自分に屈服する傲慢なお姫様』を手に入れたのだ。
すべての境遇に感謝しなければ。
彼女が二重スパイであったこと、
彼女の父が既に亡くなっていたこと、
本当は彼女は自分が二重スパイである事を誰かに気づいて欲しかったという事を。
にんまりと笑いながら、私は自分の家に向かった。
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鈴蘭(プロフ) - こんるりさん» ぜひ参考にしてください!やっぱり中也カッコいいですよね←私は双黒推しですww貴重なご意見ありがとうございまーす!! (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
こんるり(プロフ) - 話の進め方が凄いなと思いました。参考にさせてほしいくらい!! 私は中也の話が良かったと思います。というか中也推しなんですけどねwww (2018年5月27日 18時) (レス) id: 5e0d07926f (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 今宵さん» 何を!仰っているのですか!!先輩に勝ってるなんて!!そんな、勿体無いお言葉を………(泣)受験勉強で時間ない中私の作品を読んで頂いていて本当にありがとうございます!!超応援してます!!またお話しましょう!! (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます!新作も頑張っていくので、よろしくお願いします!(≧∇≦) (2018年5月25日 23時) (レス) id: 9a95a8d97d (このIDを非表示/違反報告)
今宵(プロフ) - 完結おめでとう!初作品とは思えないクオリティ……負けました(笑)これからも頑張ってね! (2018年5月25日 20時) (レス) id: c22f6d85ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年4月28日 22時