【HQ】赤い帽子のホームズくん。

第一章 船の上のincident ページ25

サイバンチョ「それでは弁護人！………尋問をお願いします。」





〜尋問開始〜

(事件に遭遇したこと)



松川「小さい体で大きく振りかぶって殴り付けてきたんだ。俺、かわそうとしたんだけど。」




……………おかしい、この証拠品と矛盾してる！





「異議あり!」





「被告人が、鉄パイプを手にして大きく振りかぶった……」





「それは、あり得ません。」





松川「…………どういうこと、だ？」






「確かに、凶器には指紋が付着しています。………しかし。」







「この指紋はあきらかに矛盾しています！」






二口検事「む、矛盾………？ば、馬鹿なっ！」







サイバンチョ「おもしろい。………それでは、弁護人に伺いましょう。」







サイバンチョ「凶器に付着した、被告人の指紋。いったい、その矛盾とはなんなのか！」







「………それは、指紋の向きです。」








サイバンチョ「むき………？」









「証言によると、犯人は凶器の鉄パイプを手にして…………」







「大きく振りかぶったそうですね。……こんなふうに。」







そう言いながら鉄パイプを頭の上まで持っていき、振りかぶる姿勢をとる。







松川「そうだ。間違いないと思うが。」







「そして、被害者を殴り付けた。問題は………この時。」








「指紋は、どのように凶器に付着するか？」








サイバンチョ「…………どういうことですかな？」






「このままの状態で手をはなすと指紋はこんなふうにつきます。」







「親指は、他の指の上側に付着する。」








サイバンチョ「確かに。ハッキリしていますね。」







「…………しかし、実際に残った指紋を見て下さい。」








サイバンチョ「あっ！こ、これは……親指の指紋が………」








サイバンチョ「下側に付着しています！」







二口検事「な、なんだと！」








「そうなんです。」






「いかがですか？松川さん。」







松川「な、なんだ？」






「犯人があなたの言うとおりに凶器を持って襲って来たのなら…………」






「指紋は逆に付着しているはず。………つまり」







「あなたの証言は、あきらかにオカシイのです！」





松川「っ！」






サイバンチョ「静粛に！静粛に！な、なんと言うコトでしょう……」





サイバンチョ「この指紋は、決定的な証拠と思われたのですが……」




サイバンチョ「まさか、そんな矛盾が潜んでいたとは…！」

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