ひとめぼれなんてこんなもん【赤】 (ページ3)

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名前ページ3

黄「ほら、こいつ困ってるで。お前が置いてけぼりにするから。」

『あああ！ごめんね！』

赤「いえ…」

明太子がペシリと先輩の頭を叩く。

それ、セクハラですよ。

黄「もう帰るぞ。行くで。」

『わっ』

明太子が先輩の腕を引いてこの場から離れようとした。

遠ざかって行く先輩の背中を見て、咄嗟に先輩のもう片方の腕を掴んでいた。

『え？』

赤「あ、あのっ」

明太子が小さく舌打ちした。聞こえてんぞこら。

赤「名前…聞いてもええですか？」

キョトンとしていた先輩が、徐々に笑顔になっていった。

『栗原Aっていいます！』

赤「なんて呼んだらええですか」

『んー、みんなからはAとか呼ばれてるよ！』

赤「じゃあ…くり先輩で。」

またキョトン顔になる先輩。

赤「俺のことさっき“しげくん”って呼んでたやないですか。なら俺もくり先輩って呼ぶんで。」

『あははっ！そっかそっか！わかった！！』

それから明太子と俺を向かい合わせて。

『こっちは幼馴染みの淳太くん！唇がチャームポイントの…』

黄「もうええやろ。行くで。」

俺のことをキッと睨んでもう一度くり先輩の腕を掴んだ明太子。

もう引き止められるような話題がなくて、そのまま2人の後ろ姿を見送った。

.

その日は家に帰っても何故かくり先輩のことが頭から離れなかった。

それに、あの明太子とくり先輩が喋ってる姿を思い出すと胸がモヤモヤする。

この気持ちの意味がわからないまま、俺は眠りについた。