嘘つきプリンス 2《片寄涼太》

Prince 84 ページ35

side A








全員が集まって、点呼を取り、

ようやくバスに乗りこんだ。




バスの位置だが…

何故か私達は一番後ろ。


バスに入って真正面から見て、

左から順に、アリサ、吉野くん、私、涼太くん。


アリサは面白そうだって言ってたけど、

私にとっては軽く気まずい状況。



だって現に…



「A、なんか面白い話して」

「片寄さん、先輩眠たそうなんで寝かせてあげましょうよ」

「…なんでだよ」




一応この場では王子の仮面を被っているから、

吉野くんの前では笑顔を見せるけど、

隣の私には聞こえている、ちいさな舌打ち。






「あ！私おやつ持ってきたんだけど食べる？」

「ありがとうございます♪」

「…俺はいいや」




完全に怒ってしまった涼太くんは、

窓側を向いて寝る体勢に。


吉野くんはニコニコしながら、

私の持ってきたスナック菓子を食べてる。



アリサはというと…

ニヤニヤしてるから多分数原くんとの、

LINEのやり取りでしょう。




「先輩っ！」

「ん？」

「片寄さん寝ちゃいましたね」

「ああ…そうだね」

「サッカー部の皆さんは体力温存のためにも寝てるみたいですよ」

「あ、そっか。今から試合だもんね。」

「楽しみですね」

「うん」





そんな話をしながら、

揺れるバスは丁度心地よくて、

どんどん瞼は重たくなっていった。









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