嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 40 ページ40

side A









辛い。辛い。辛い。





辛くて、そして精神的に辛い。


めんどくさいなあ、女子って。


気にしないふりをするけど、

涼太くんへの軽い悪口と私への侮辱が重なって、

もうそれしか耳に入ってこない。



聞こえないふり、聞こえないふりって思うのに

全然意味無い。



…ダメだ、泣いたらだめ。


こんな人たちなんかほっとかないと…。


なのに、無理だ。





少しだけ視界が歪んだ、






「あのっ！！」





食堂の中からガタンっと音を立てて

椅子から立ち上がる音と声がした。


私の前側のテーブルにいた…吉野くんだった。







「大声出してすみません…あの、ここは食堂です。美味しいご飯を前にして、愚痴なんて言うのやめましょう…台無しになっちゃいます。ね？」





最後の、ね？は私達のことをひそひそ言ってた女子のグループに向けて。


…軽くあざとい。



でも、今は全力でありがとうって言いたいよ。




そしてちゃっかり吉野くんはこっちを見て、

ぺこりとお辞儀した。





…できた後輩を持ったもんだ。



対応力、可愛さにおいて評価をあげよう…



って誰だよ私。









・

Prince 41→←Prince 39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す