嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 2 ページ2

side A









放課後


私は実は吹奏楽部なので、

部活に勤しむ…はずが、

音楽室に着いた途端に楽器を教室に置いてきてしまった。





すぐ戻ります！とだけ告げて

音楽室を飛び出す。







…ああ〜、もう、今日は皆で合わせる日だから早く吹きたいのに…。







・









教室の鍵を先生からもらって、

そっとドアを開ける。




無人の教室。

外から聞こえる部活の声。

…響く合奏の音。




すぐに自分の席から楽器を取って、

教室を出た。




再びを鍵をかけたその時だった。









「まじだりぃんだけど」

「まあまあ、落ち着けって」

「あのな？毎度毎度しつこい奴らはほんとにしつこいんだわ。いい加減にして欲しい。」

「こっわ笑 王子こわっ笑」

「プリンスだかなんだか知らないけど、俺ほんまそういうの興味無いんやわ」

「お前ほんと黒いなあ…腹黒。」

「ま、こんなん言えるの龍友くんにだけやけどな」









隣の教室から聞こえた声。



間違いない、聞き間違えるはずがない。




会話の内容からも、絶対隣の教室にいるのは…







片寄くん、だ。



あ、あと龍友くん、って人も。


確か野球部のエースで、片寄くんの幼なじみ、だっけ…





それにしても、ほんとに片寄くんか疑うくらいの毒舌。



たまに混じる関西弁。





一刻も早くここを立ち去らないと…。




そんな時、






「なあ、そこにおる奴こっち入ってきて」






そう言う声が、した。



もちろん、片寄くんの声で。





…バレて、る。









・

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