嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 35 ページ35

side A








投げつけられたノートは、

涼太くんの数学のノートで。


わかりやすくまとめてある。

…そこら辺の参考書より上手にまとまってる。



それを見ながらとりあえず問題を解けば、

スラスラと解くことが出来て、

何度か解き直しをすればもう完璧。









・








そんなスーパー涼太くんノートのおかげで、

数学の朝テストを楽々乗り越えることが出来た。



で…このノートをどうしようか。

早く返さないと涼太くん困るだろうし…


1時間目が始まる前に返しにいこうと、

隣の涼太くんの教室へ。



ひょいと覗くと、

当たり前の視線は刺さる。


…もちろんいい意味で、なんてことはなくて。


若干聞こえる、片寄くんの彼女だーって、

誹謗中傷は聞かないふり。

…そうしなきゃやっていけないし、

って、涼太くんはどこ、だ…




教室を見回すけどいなくて。

諦めて帰ろうとすると、






「片寄くんに用事？」

「え？」

「そのノート。違う？」






目の前には黒髪の綺麗なストレートヘアが印象的な、超絶美人な子。


…名前なんだっけ、すっごい有名な子なんだけど。


涼太くんが王子なら彼女は姫とでも言うべきか…









「あの〜…」

「あ！すみませんぼーっとしてて…これ返しておいてください！お願いします！」






ぺこりと頭を下げると、

ニッコリ微笑まれて手を振られる。



わ…なんか私にまで優しい…？



その天使とも言える微笑みに手を振り返して、

私は若干ルンルン気分で教室に戻った。








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