初恋サクラ《佐野玲於》 (ページ38)

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8月ページ38

side A

あっという間に突入した夏休みも

始まって1週間と少しがたった。

そして始まった毎晩の日課。

それは、21:00にかかってくる電話。

そろそろ、かな？

そう思った頃に震える手の中のスマホ。

" 小森隼 "

毎日表示されるその三文字。

画面をスライドさせて電話に出る。

「もしもし」

「はい！今日の玲於報告～…！」

「ねえほんとに毎日毎日いらないよそれ恥ずかしい…」

「聞きたいくせに…」

「まあ、お願いします」

そう、ダンス部は夏休み毎日部活があるから

毎日顔を合わせるみたいで。

やけにお節介な隼は私のために『今日の玲於』という謎のレポートをしてくる。

それもすっごいしょうもなくて、

" 休憩時間にわざわざ近くのコンビニに行ってプリン買ってた。"

とか

" あるステップが出来なくてイライラして俺の髪の毛を毟ってきた。"

とか

正直くだらないんだけど

聞いてて楽しいのは事実。

それと同時に "会いたい"って思わせてくれる。

「今日はね、玲於と俺で遊びに行った～！」

「へえ…」

「プリクラ撮ったんだけど、見る？」

「いいの？」

「おう。送った」

急いでスピーカー通話に切り替えて

隼のLINEを開く。

…そこには可愛い佐野くん。と、隼。

目でっか。

女の子よりも可愛いです。佐野くん。