☆ ページ35
side 隼
このままじゃ何も収穫なしに終わってしまう…
焦りに焦った俺は直球に質問した。
「れ、玲於さ好きな人いる?」
「…それ前も聞いたくね?」
「お、覚えてない」
「記憶力終わってんな」
「あー、もう今はそんなこといいから」
「だからさ、いないって言ってんじゃん」
「ほんとに?」
「ほんと。てかいらないから。」
「めんどくさいの?」
「…恋愛でいい思いしたことないってば」
「そうなの?」
そう言うと無言で頷いて
自分の髪の毛ぐしゃぐしゃにして
ため息をついた。
「俺中学のときさ」
「…うん」
「嘘告されて付き合ったことあんの」
「え、まじ」
「1週間付き合って、こっぴどく振られた」
「それって…」
「長岡が仕組んでた」
「あいつとことんムカつく奴だな」
「俺のスカした態度が気に食わないんだと」
「辛かった、よな」
「まあ。だから俺は恋愛とかしない。今は。」
淡々と話すけど
若干潤んでる玲於の目。
…今めっちゃ抱きしめたい。
絶対拒否られるだろうけど。
「でもさ、玲於のことちゃんと想ってる人もいると思うけど」
「何それ、励まし?」
「いや…事実」
「俺みたいなダメな奴好きになる人なんていねえから」
「…なんでそんな卑屈になんの」
ああもう。
過去なんて全部俺が消してやりたい。
そう、思った。
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作者名:すず | 作成日時:2017年3月17日 22時