歌い手さんのインフォしてます【浦.島.坂.田.船】

お仕事にじゅうろっこめ。 ページ27

「あ、Aやんか！」


今日は、私は久しぶりのオフの日。
新しい服が欲しくて、ショッピングモールをぶらぶらしていた。

そんなときに出会った志麻くん。

正直、私の貴重なお休みがつぶれる予感しかしない。
たまには、お仕事のことを忘れて遊んで過ごしたいのだが。


と、思っていても、志麻くんは私の手に持っているショッピングバッグを見逃すはずなんてなくて。


「服買いに来たん？俺が選んだるわ！」









.









さて、志麻くんと出会ってから何時間経っただろうか。
もしかしたら、何分の単位なのかもしれないが、体感時間ではものすごく長く感じる。


「なあ〜、これ着てみてくれん？」

『志麻くん、いつまでこれやるの……。』


その間、私は志麻くんのきせかえ人形と化していた。

さすが志麻くん、センスは悪くないと思うのだが、むしろ良いと思うのだが……



……ミニスカとショートパンツばっかり持ってくるのやめてくれない？！

さっきから、足元がスースーして堪らない。


「Aが似合いそうな服全部着てもらうまで帰れへんにきまっとるやん！」



……まじで。
もう私、瀕死なんだけど。ねえ。


「あ、これで最後や。」


やっと終わりが見えた。
結構きせかえ人形も疲れるんですよ。





『はい。着たよ。』

「さすが、A。全部似合うわ。」

『そりゃどーも。』


結局、志麻くんと言ったお店では、スカートとカーディガンを買った。

やっと志麻くんから解放される。

そう思い、志麻くんに「じゃあまた家でね。」と言おうとした瞬間、志麻くんに大きな紙袋を二つ渡された。


「それ、やるわ。」


紙袋の中身は二つとも、袋いっぱいの服。
……心なしか、紫の服の比率が高い気がしないでもない。

って、こんなにもらうのは申し訳ない。


『いやいや、気持ちだけで十分だよ。』

「もう買ったんやから、大人しくもらっとき。俺が買いたいと思って買ったんやから。」


『……ありがとう、志麻くん。』


志麻くんにこんなに優しくされるなんてはじめてで混乱する。
いったい志麻くんに何が起こったのだろうか。


……きっと私の大変さがやっとわかったんだろう。

きっとそうだ。
感謝は大事ですよね。


明日は、このもらった服を早速着てみようかな。

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