トライアングル ページ19
楽しい時間はあっという間で気づけば外は真っ暗。
旅館へ行き、お風呂に入って美味しいご飯を食べてお部屋でまったりタイム。
「なんか、居づらいんだけど」
阿部先生がチラチラと私、ラウ、愛澄花を見る。
「なぁんでよ」
まあ、そりゃそうか。
「自分の生徒が3人もいる中で泊まるんだよ?」
大きな部屋を1つ借りてそこに6人で泊まることになった私たち。
「教師と生徒が旅館に泊まるってなんかえっちで最高じゃん」
『お兄ちゃんはすぐそんなこと言う』
「ほんとだよな。妹の方がふっかよりしっかりしてる」
「えっ!?」
「うははっ。いやーでもまじで楽しかった。次は翔太も来れるといいね」
「そーだな」
今、お兄ちゃんと阿部先生が話している翔太さんは、お兄ちゃんが務めている不動産屋の息子。
つまり、お兄ちゃんの高校の同級生。
翔太さんは実家の不動産屋ではなく美容師として働いているそうでなかなかまとまったお休みがとれないみたい。
お兄ちゃんたちの話を聞きながら笑っているとつんつんと浴衣の袖を引っ張られた。
「ちょっと散歩しよ」
ラウに小さな声で言われてこっそり部屋を抜け出した。
夜の海は穏やかで波の音と潮風が心地いい。
「あの時言えなかったけど…水着も似合ってたよ。かわいい」
『ええ?ラウはスタイルよくて相変わらずかっこよかったよ?』
「え!俺かっこいい!?」
『かっこいいでしょ、どこからどう見ても』
よっしゃと小さくガッツポーズをするラウにちょっと笑ってしまう。
「今日楽しかったね」
『うん、久しぶりにあんなに笑った気がする』
「よかった」
『え?』
「Aちゃんが笑顔だと、俺も笑顔になれる」
『そうなの?』
「前に好きな人がいるって話したの、覚えてる?」
『もちろん』
「笑顔が可愛くて、守ってあげたくなる子なんだ」
『うん』
「でも、その子には好きな人がいて」
『言ってたね』
「でもその子好きな人の話する時、つらそうなの」
『好きな人、なのに?』
「そう。好きな人なのに、つらそうに話すの。俺はさ、好きな子にはそんな顔してほしくないし…俺なら絶対笑顔にできるって今日確信したんだ」
不意にふわりと包まれる手。
『…ラウ?』
「俺Aちゃんが好き」
まっすぐに伝えられた言葉。
暗くても分かる、私を見つめる真剣な瞳。
「ねえ、お兄さんやめてさ、俺にしない?」
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周!!!めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう!!!他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます!何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます!!!素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです!!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…!いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません!物語全部読みました!すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました!この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました!とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています!またここのふっかさんに会いにきます!笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´;ω;`)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年3月6日 20時