46 ページ2
_
「うそ、」
「え?」
「嘘つくなよ」
「…、嘘ついてるのはどっちよ」
こんなこと言いたいわけじゃないのに。
「残業とか、飲み会とか、いろいろ理由つけて私じゃない
「…」
「私は、たろちゃんとの子どもがほしかったから頑張ってたの。ずっと。でも全然思い通りにいかなくて、くやしくて。最初はたろちゃんも一緒に頑張ろうねって言ってくれてたけど、待ちくたびれちゃったんだろうなーって。仕方ないよなーって。帰ってきてくれるからそれでいいやって言い聞かせて自分を保ってた」
「…」
「でもたろちゃんはもう私じゃなくてもいいんだもんね。子どもできるなら誰でもいいんでしょ?」
「ちがう、」
「違わないじゃん」
「…」
「たろちゃんひとりっ子だからさ。お義父さんとお義母さんに孫の顔見せてあげられるはたろちゃんだけ。ずっと楽しみにしてるもんね、2人とも」
「A、」
「ごめんね。…もういいよ私のことは。優しくしなくていい。まなみさんのところ行きなよ」
「っ、」
「…前から気づいてたよ」
「…」
「気づいてたのに記念日のディナーすっぽかされても文句1つ言わなかった私っていい女でしょ?」
「…うん」
「あーあ。バカだね、たろちゃん。バカだねぇ…」
「ほんと、バカだなって自分でも思う」
「ねえたろちゃん」
「ん?」
「私のこと好きだった?」
「大好きだよ。その気持ちに嘘はない」
「そっか」
「なのに矛盾なことして傷つけてごめん。1人で背負わせて、いっぱい頑張らせてごめん。謝って許されることじゃないってわかってるけど…本当にごめんなさい」
私は何も言葉を返さずに、ずっと頭を下げたままの夫をただただ見つめた。
1353人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - さくらさん» こちらこそありがとうございました。原作も読み直していただけてとても嬉しいです。ぜひこれからもご愛読いただけると幸せですꕤ*.゚ (11月13日 14時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - さつきさん» ありがとうございます。みやだてくんの詰め合わせ(?)です!3cmをおしゃれに使いこなす(とは)私をどうぞ今後ともよろしくお願い致します(՞ ܸ. .ܸ՞)" (11月13日 14時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました!一度読み終えて、もう一度渡辺くんの3cmが読みたくなり、最初から通してもう一度読みました!本当に大好きなお話ばかりでした。これからも楽しみにしてます! (11月13日 1時) (レス) @page33 id: 9b5871997b (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 舘様の紳士なところだけではなく、面白いところ、優しすぎるところなど沢山の魅力が伝わってきました!世界線が繋がっていることに気がついた時には思わず震えました!!3cm始まり3cm終わりって凄すぎです!ゆり組の会話も良すぎました!とってもおもしろかったです!! (11月12日 22時) (レス) @page37 id: 0d24bdd115 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ありがとうございます。なんだかたくさん褒めてもらえてニヤけちゃいますね。照れくさいけど、そのお言葉がとても嬉しいです。次作もぜひよろしくお願い致します☺︎︎︎︎ (11月10日 16時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年11月4日 18時