Distance...

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「つーか美紅みたいに公開イチャイチャとかしないから俺ら」


「公開イチャイチャしてない！」


「お姉さんにも大切な人がいるんですね」


「はい。大好きな旦那さんと子どもが2人」


「いいねぇ。幸せじゃない」


「ひーくん…あ、旦那さんのことひーくんって呼んでるんですけど、高校から付き合ってて」


「そのままゴールインしたんだ？」


「しちゃいました」


「純愛ね。すごく素敵」


「ひーくん本当にかっこよくて、」


「はいはいストップ。照の惚気話は聞き飽きた」


「たっくんが聞かなきゃいいじゃん」


「お前の声でかいから5km先にいても聞こえるわ」


「ひどぉい！ひーくんに言いつける！」


「おーおー、言え言え。照に泣きついとけ」



これか、とふと思った。


おそらく彼女は私が求めている理想の幸せを全部持っている。


人に何回でも惚気けたくなるくらい素敵な夫がいて、その人との子どもを授かって。



「Aさん、」


「へ？」



佐久間先生に名前を呼ばれて我に返った。



「大丈夫ですか？」


「大丈夫。ちょっとボーッとしてただけ。ねえお兄さん」


「あ、はい」


「お姉さんの惚気話、聞き飽きたんならお兄さんから先に聞かせてくださいよ」


「はい？」


「佐久間先生との、惚気話」


「いやいやいやいや」


「それいい！聞かせてよ！」


「はぁ！？なんでお前の前で言わなきゃいけないのよ」


「いいじゃん。いっつも私ばっかりなんだからさ」


「美紅が勝手に話してるだけな？」

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