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女子生徒たちは真剣に聞いているような、彼の顔を見つめているだけのような…。
「…っていう感じでやってくんですけど、実際にやってもらいたいので事前にお願いしてる生徒さん来てくださーい」
すぐにラウールさんと目が合って、おずおずと立ち上がる。
女子生徒の視線が痛いリターンズ…!
「今回僕から先生にお願いして、あえて女子生徒の子に実践してもらうことにしました。…じゃあお願いします」
ラウールさんと目が合って小さく頷かれる。
消化器を受け取ったら思いのほか重くてびっくりした。
「どう?」
「思ったより、重い…です」
「だよねぇ。はい、じゃあレバーの下を握って…そうそう。で、火元に近づく時はなるべく低姿勢で煙を避けてくださいね」
「はい…」
「次はこの黄色い栓を抜いて…ここに火があると思ってやってみて」
ホースを外してレバーを握るけど全然出てこない。
「あれ、?」
「もっとぎゅって」
力を込めて握ったら、突然出てきた勢いでよろけてレバーを手放してしまった。
「大丈夫?」
「っ、はい」
ラウールさんは想定していたようで即座に私を支えてくれた。
「僕が女子生徒にやってもらいたかった理由、なんとなくわかりましたか?消化器は意外と重いんです。レバーは硬いし、噴射にも勢いがあります」
よろけたせいでラウールさんが作ってくれた的からズレてしまっていることに気づく。
「でも女性の力でできないわけじゃないので、もしもの時のために今知っておけば備えられて上手く対応できると思います」
ラウールさんにもう1回と言われてレバーを握った。
今度はスムーズに、的の中へ噴射することができた。
「練習しておきたいって人いたらぜひどうぞ」
次々に生徒が手を挙げてラウールさんはあっという間に囲まれた。
そんな彼をボーッと見つめていたらありがとうと口パクで言われてドキッとした。
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涼-suzu-(プロフ) - みかんみたいなオレンジさん» コメント全然気づかなくてごめんなさい!超絶返信が遅くなってしまいました…。涼担になってくださってありがとうございます。笑 これからもぜひニヤニヤしながら読んでください。ニヤニヤしながら執筆している私より。 (1月14日 8時) (レス) @page31 id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
みかんみたいなオレンジ - 私、実は涼さんの大ファンでして…まじでラウール君が消防士になってる姿を妄想しては終始気持ち悪い笑みを零していましたキモチワルイ (10月15日 15時) (レス) id: 9d2fbf6ffa (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シキさん» ありがとうございます。20歳になったので大人な彼を(勝手に)解禁いたしました! (10月12日 8時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - 完結おめでとうございます。少し大人っぽいラウに終始きゅんきゅんしておりました!after storyも最高です🤍 (10月11日 20時) (レス) @page30 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ありがとうございます。ニヤニヤ道連れ成功ですね。むふふ。世話焼きな友達も楽しんでもらえましたか?笑 シラユキ。様もどうかお気をつけくださいませ☺︎︎︎︎ (10月8日 16時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年10月3日 16時