推しに恋して (ページ45)

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「ぷにぷにしてて柔らかくて女性らしいし。…ずっと触ってたくなる」

「え」

「まって。今の発言は変態っぽいわ。なしなし」

そう言って私から手を離した。

「嬉しいです」

「…」

「好きな人から触れてもらえるのは、嬉しいです」

"好きな人"と言ったあとでやばいと思ったけれど、推しは好きな人と同じだから違和感はなかったみたいで特別彼に突っ込まれることはなかった。

「よかった」

「…？」

「変態なの、俺だけじゃなくて」

「…。え！？」

いひひと悪戯に笑ったラウールさんはまた私の頬に触れる。

私は変態じゃないって言いたかったのに、言えなかった。

「んじゃあそろそろ帰りますか」

海辺を少し散歩してたらはしゃいでしまって2人とも足元はびしょ濡れ。

でも楽しくてそんなことどうでもよかった。

「あっという間だったなぁ」

「…はい」

「久しぶりにあんなはしゃいだわ。いっぱい笑った」

「本気で笑うラウールさん、カラスみたいでした」

「カラスかぁ…。否めないな。そういうところも推してくれる？」

「ふふっ。もちろんです」

電車の中でも降りてからも話は絶えなくて。

ああ、いやだな。

家が見えてきた。