推しに恋して (ページ43)

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「髪の毛サラサラだ〜」

「…」

「Aちゃんは大人っぽい感じも似合っちゃうんだね」

私がほしい言葉もきっとお見通しなんだ。

「じゃあ行きますか、デート」

「っ、はい」

電車で20分程揺られて少し歩けば目の前に広がる景色は空の色を映した真っ青な海。

「Aちゃんこっち」

ラウールさんが立ち止まったのは海の見えるカフェだった。

「ここで美味しいランチ食べよ」

「ご褒美、ですか？」

「そう」

素敵な景色でしょ？と言うラウールさんが1番素敵に思える私は重症かもしれない。

店内に入り、海を眺められるようにあえてカウンター席を選んだ。

向かい合って食べるのは緊張しちゃうから内心ホッとした自分がいる。

メニュー表には魅力的なランチセットがたくさんあって苦しみながら決めていたらラウールさんに笑われてしまった。

「ん！」

「美味しい？」

「はい！」

「あはっ、かわいいね。いっぱい食べな」

「…」

せっかく気をつけていたのに。

苦しんで苦しんで決断した海老のクリームパスタがあまりにも美味しいものだからつい食い意地が。

子どもっぽいって思われちゃっただろうな。