推しに恋して (ページ42)

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予想外の約束に舞い上がる。

ラウールさんとデートできるっていうだけでご褒美なのに、計画まで立ててくれるらしい。

それが楽しみでより一層勉強を頑張れた。

授業中に理解できるように先生の話を聞いたり、わからないことは積極的に質問したりとにかく真面目に取り組んだ。

「恋の力ってすごい」

「私なら恋を優先して成績下がるけどね」

「Aは恋してる相手が相手だから」

「私も先生に恋したら成績上がる？」

「かもね」

「イケメンティーチャー来てくれ」

デート前日の放課後課外ではそんな友達のやりとりに気づかないほど集中していた。

帰宅してからも明日は勉強のことを忘れられるようにある程度宿題を終わらせて、お母さんに服選びを手伝ってもらった。

「いってきます」

「はーい。いってらっしゃい。ラウくんよろしくね」

「俺もラウールコーチとお出かけしたい！姉ちゃんずるい！」

「都夢もAちゃんと同じ年齢になったらな」

「えー…」

当日は拗ねる都夢とそれを宥めるお母さんに見送られて家を出る。

ドアの閉まる音が背後で聞こえた瞬間に緊張が走った。

「今日はまた雰囲気が違うね。髪おろしてるの初めて見たかも」

いつもはポニーテールにしている髪を、膝下丈のワンピースに合わせておろしてみた。

ラウールさんの手が髪に触れて毛先までさらりと撫でる。

その手つきに彼は自分より大人なんだと改めて思わされた。