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5つ入っていた唐揚げはあっという間にあとひとつ。
ラウールさんはそれを私の口の前に持ってきた。
「食べる?」
「…」
脳内を駆け巡る間接キス。
普通なら恥ずかしくて絶対断るけど。
「…どう?美味しい?」
「美味しいです」
味、全然わかんないや。
花火は終わりが近いのか大きなものが連発してたくさん打ち上げられている。
私たちは黙ってただそれを眺めた。
すごく幸せで、こんなに時間よ止まってくれと願ったことはない。
「きれいだったねー…」
「…はい」
私の祈りは空に届かず花火ともに散っていった。
さすがにもう手は離さなきゃ。
「すいません、わたし…」
「Aちゃんとこうして花火見られて俺は嬉しかったよ」
「!」
「だからありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
照さんがやってきたことがきっかけで手は離れてしまったけれど幸せな気持ちが残った。
ラウールさんの言葉ってすごい。
「ラウ、Aちゃんのこと家まで送ってあげたら?」
「え!?」
「ぜひそうしてください!」
いつの間にか友達も戻ってきていて2人して目を輝かせる。
「私たち2人は家が近いからいいんですけどAだけ逆方向で…」
よくそんな嘘が咄嗟に出てくるな。
あなたたちの帰宅ルート、私の家の前通るじゃんか。
「ラウールさんが厳しかったらもちろん私たちが送って帰ります」
わかりやすくしょぼんとした顔で…。
あざと。
ていうかなんで2人の方が必死なの?
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年9月21日 16時