推しに恋して (ページ32)

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考えるほど待ち遠しいと思っていたけれどあっという間にその日はやってきた。

お母さんに浴衣を着付けてもらったら、友達2人が私のメイクとヘアアレンジをしてくれた。

私はされるがまま。

いつもとは少し違う自分に気持ちがあがる。

ラウールさん、綺麗って言ってくれるかな。

もしかしたら背伸びしてるって思われちゃうかも。

半分の期待ともう半分の不安でドキドキしながら会場へ向かった。

友達は私の気持ちなんて知る由もなくてはしゃいでる。

あれ食べたいこれ食べたいとか写真いっぱい撮ろうとか、あの子も来るらしいよとか。

私はラウールさんのことで頭がいっぱいだからあまり話が入ってこなかった。

「あ、いたよラウールさん」

「！」

会場に着いてすぐ友達が見つけた彼の姿。

みんなが楽しんでるのを微笑ましく見守っている。

「行こ」

友達に手を引かれてラウールさんのもとへ。

「ラウールさーん！」

友達の声に反応したラウールさんはこっちを見て手を振ってくれた。

「こんばんは」

「こんばんは。3人とも浴衣似合ってるね」

「ありがとうございまーす！」

「ラウールさんみたいなかっこいい人に言われると照れちゃう」

「あはは！そう？」

私の方がラウールさんとたくさん話してるのに、友達の方がリズムよく会話ができているのはなぜ？

私もこんな風に振る舞えたらもっと距離を縮められるんだろうな。