推しに恋して (ページ25)

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「じゃあ俺も、」

ラウールさんが靴を履こうとするのを阻止して振り返る。

彼を睨んで頬を膨らませて更には腕組み。

最大限の怒ってますよアピール。

「私、子どもじゃないです」

「…もしかしておこっ、てる？」

「はい」

「んふ、」

「なんで笑うんですか」

「かわいくて」

「…怒ってますよ」

「ごめんごめん。子ども扱いしたわけじゃなかったんだよ」

「知ってます。私はマスコットですもんね」

「あれ？マスコット不服？」

たった3つしか年齢は変わらないのに。

私は10代の子ども、ラウールさんは20代の大人。

ラウールさんと同じ20代になるまでこの距離感だけは縮められないのかな？

3年後には大人の女性として対等に見てくれるのかな？

でも3年待ってたら友達が言ってたように他の誰かのものになるかもしれない。

「不服です」

「え、」

「いやです。マスコット」

「…」

「私のこと、私として見てほしいです」

「Aちゃん、」

「アイス奢ってください。…高くて美味しいやつ」

「…！もちろん。なんでも好きなの買いな」

「じゃあ、怒るのやめます」

ラウールさんにはじめてこんなわがままを言った。

だけど優しく微笑んで包容してくれて。

余裕な感じが悔しいのに好きな気持ちを大きくする。

ちょっとだけ、苦しい。