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「ねぇ、」
「は、はい」
「写真、待ってたんだけど」
「や、えっ、と」
友達とプールに行ってから数日後、ラウールさんは家に来るなり私に言う。
「プール行かなくもないけどトレーニングばっかりだし、楽しい雰囲気感じたかったのにぃ」
「ごめん、なさい…?」
「あはっ!うそうそ。謝んなくていいよ」
「…見ます?」
「え、」
「友達がラウールさんに写真あげなよっていっぱい私のこと撮ったんです。でも恥ずかしくて」
「見ていいの?」
私が頷くとラウールさんはスマホを受け取った。
「…いいねぇ。めちゃくちゃ楽しんでるじゃん。これとかブレブレだし。もはや水飛沫しか見えないよ」
「スライダーから落ちる瞬間を撮りたかったみたいです」
「Aちゃんずっと浮き輪持ってるのかわいいんだけど」
「プールは好きなんですけど泳ぐの苦手で…」
「そうなの?体育の授業大変だったでしょ」
「プールの授業始まってからは早く夏休み来てくれってずっと思ってました」
ラウールさんが写真をスクロールして行き、とある1枚が時を止める。
「…」
「…?」
咳払いをしたラウールさんは私にスマホを返すと両手で顔を覆う。
その耳は赤く染まっていた。
見れば、私が座ってアイスキャンディーを咥えたままポニーテールを結び直している。
友達が私の正面に立って、上目遣いくださーい!いいですねー!ってカメラマンみたいなことしてたやつ。
そういえばこれは絶対送りなよって言われたな…。
送ってないけど。
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年9月21日 16時