推しに恋して (ページ15)

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「ラウールさん、どうだった？」

「彼女、いないって」

「うわっ！よかったじゃん！」

「連絡先交換できた？」

「…うん」

「やるなお主」

「かぁ〜っ！私も恋したい」

「3年生の先輩かっこいいって言ってたじゃん」

「あれは、推し」

「ええ？」

「私はちゃーんと恋愛と推しの区別ついてるから」

「…すいませんね区別ついてなくて」

「あららそんな拗ねないのっ。かわいいお顔が台無しよっ」

「うざい」

今日は自転車に乗って友達2人と約束していたプールへ。

信号待ちで少し離れた場所に消防署があるのを見つけた。

訓練っぽいことをしていてそれをぼんやり見ていたら、ズバ抜けて高身長の男性がいる。

「…ラウールさん？」

「どこ！？どこどこ！？」

「え、なに！？ラウールさん！？」

私の小さな声を聞き逃さなかった2人が私に顔を寄せて視線を辿る。

そして消防署を見つけて騒ぎ出した。

「行こ！」

「いやいや！迷惑になるから！」

ラウールさんの名前を呼ぶより確実に大きな声で言ったのに彼女たちには届かず、信号が青に変わると一目散に消防署へ向かっていった。