推しに恋して (ページ2)

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約束の時間になるといつも妙に緊張して落ち着かない。

リビングで立ったり座ったりソワソワしながら過ごしているとインターホンが鳴った。

走って玄関へ向かって咳払いを1つ。

そしてゆっくりとドアを開けた。

「こんにちは」

「こ、こんにちは！」

「今日もよろしくお願いしまーす」

「こちらこそです」

私の推しは家庭教師をしてくれているラウールさん。

彼がうちへ来るようになったのは今年の春から。

高校2年生になると受験やら就活やらに向けて準備をしなければいけない。

まだ働きたくない私は進学の道を選んだのだけれどこのままの成績じゃ危ういということで、お母さんが友人の息子であるラウールさんにお願いをしたわけ。

帰ってからも勉強なんてやだなぁと思っていたけれどラウールさんを見た瞬間にそんな気持ちはどこかへ吹っ飛んだ。

こんなにかっこいい人から勉強を教えてもらえるなら喜んで！と。

「期末の結果は全部返ってきた？」

「はい、返ってきました」

「じゃあ見せてください」

両手を出して首を傾げるラウールさん。

控えめに言ってかわいい。

ドキドキしながら準備していた解答用紙をラウールさんに渡す。

「お！」

「…」

「全部60点超えてるじゃん！」

夏休み前の期末にラウールさんより課されたミッションは欠点ゼロ。

理数系が苦手な私だけど推しに褒めてもらいたくて、推しの笑顔が見たくて頑張った。