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2人だけの空間 ページ10

私はホテルのソファーで1人体育座りをして頭を抱えていた。

『はぁ…』

何度目か分からないため息と同時にバスルームの扉が開く。

「髪乾かせよ」

『…岩本さんこそ』

なぜ1部屋しか取ってないんだ、阿部さんよ。

岩本さんがお風呂に入っている間に阿部部長と連絡を取る。

"これは元々岩本さんと私の同期の渡辺翔太が行く予定の出張だったの。"

うんうん、聞きました。

"しかし渡辺は出張前に別件のプロジェクトに引き抜かれてしまった。"

そうですね。

"よって、そっちに参加しなければいけないため行けるのが私一条しかいなかった。"

それを了承してここまで来ました。

"ギリギリだったから他の部屋がもう空いてなくて、こうなった。"

それ絶対ちょっと前に分かってた情報ですよね?

なぜすぐ言わないんだ…。

幸い、ベッドは2つある。

別に何もないって、なんでもないって分かってる。

これ以上、岩本さんと麻里菜さんとのことを拗らせるわけにはいかない。

分かってる。

分かってるよ。

麻里菜さんにも絶対言わない。

言えない。

でも、次に職場で岩本さん見かけた時に冷静に話せるか心配。

麻里菜さんに悟られたら何もかも終わりだ。

佐久間さんといい岩本さんといいなんで1人で何をこんなに悶々と考えなきゃいけないの。

仕事してる時は忘れられるからもうずっと仕事しときたいよ!

…いかんいかん、落ち着こう深呼吸だ。

そう思った瞬間ブォーという音と共に私の髪に何かが触れる。

『なっ!?!?』

びっくりして顔を上げると岩本さんが髪を乾かしてくれていた。

『あ、あ、自分で…』

「何1人でずっと呪文唱えてんの。絶対変なこと考えてるだろ?」

『かっ…考えてません』

「あ」

いろいろと恥ずかしくなって岩本さんからドライヤーを奪うと雑に髪を乾かした。

「ボサボサ」

1泊2日の出張で岩本さんと2人。

お仕事終わりに初めて2人きりでご飯食べて、まさかのホテルの部屋が一緒だなんて。

夢のようだけど…。

『何でこうなっちゃったんですか?』

「雑に乾かすからだろ?」

『…私の頭の話ではありません』

「え?」

せっかく捗ると思っていたレポートも書いた内容なんてこれっぽっちも覚えてないほど岩本さんで頭がいっぱいだった。

だけど、岩本さんが確認して大丈夫と言ってくれたので、きっと大丈夫なんだろう。

そして、あまり寝れぬまま朝が来たのだった。

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設定タグ:snowman , 雪男 , 佐久間大介   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年2月10日 17時

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