モヤモヤ ページ29
最近、また佐久間さんがおかしい。
私を避けてる気がする。
いつもみたいに挨拶してくるし、会話もするけど明らかに私に絡んでくる頻度が減った。
食堂にもいつもみたいに向かいに座ってこず、目黒くんや岩本さんと食べている。
そんな私の向かいには、麻里菜さんがいる。
「どうしたの?難しい顔しちゃって」
『分からないんです』
私の目線の先には楽しそうにおしゃべりをする佐久間さん。
「目黒くん…?」
『の、隣の人です』
「佐久間くん?」
『佐久間さんのことが、分からないんです』
「確かに、あんなに仲よかったのに最近一緒にいるの見ないかも」
いつからあの人は私の頭の中をこんなに支配するようになったんだろう。
「好きなの?佐久間くんのこと」
『…好き、ってなんですかね』
「ふふ、急に哲学的な質問ね。そんなの好きだって思ったら好きなんじゃない?」
『ええ…』
私は頭を抱え込んだ。
私って、佐久間さんのこと、好きなのかな?
「好きだから彼のことが分からなくて悩んでるんじゃないの?」
『え』
その言葉に勢いよく頭をあげると、私の発した声が意外と大きかったらしく遠くで佐久間さんと目が合いすぐに逸らされた。
ズキンと心が痛む。
「別に好きじゃない人のことなら分からなくていいし、頭を悩ますこともないんじゃないの?」
麻里菜さんの言葉に、確かに、と思い当たる節がいくつも浮かんでくる。
『その理論でいくと好き、なのかもしれません』
「やだもう。理論なんて堅いよ〜!恋愛なんて頭で考えるもんじゃないの。気持ちよ、気持ち」
『気持ち、』
「恋愛したことないの?」
デジャブ。
『え、麻里菜さんまでそんな酷いこと言います?』
「あら、誰かにも言われたの?」
『言われました』
岩本さんのことを佐久間さんに相談してましたなんて言えない。
『一応、恋愛はしたことありますけど…もう長いことしてないというか、恋愛はもうしないって決めてたので、なんかよく分かんなくって』
「まあ、たくさん悩んでそのモヤモヤした気持ちが何か、気づく日が来るよきっと」
『うう…』
「ふふ、佐久間くんとちゃんとお話できるといいね?」
『頑張ります』
麻里菜さんは何かを見透かしたようにイタズラに微笑んだ。
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年2月10日 17時