幸せと美味しいものは半分こ ページ25
『あの、佐久間さん？私まだ…』
｢俺もね〜パスタな気分でね、いっちーが迷ってたパスタと一緒だったんだ〜｣
ニコニコしながら話してくれるのを見て、私が迷っていた2つを頼んでくれたことを察した。
｢シェアしよーよ！ね！ほら、幸せと美味いもんは共有すべし！って言うじゃん？｣
『そうなんですか？』
｢うん。佐久間論｣
『ふふ、何それ。でも、ありがとうございます』
佐久間さんはなぜか得意気にいひひと笑った。
｢涼太が作るご飯は絶品なんだぁ｣
『お友達って涼太さんのこと、ですよね？』
｢そうそう。さっき注文取ってくれたのはアルバイトのラウール。ハーフでね、現役高校生だよ｣
『…』
｢びっくりでしょ｣
『はい』
高身長イケメン…もとい、ラウールくんって高校生なんだ。
『このお店、よく来られるんですか？』
｢うん。元々翔太にこのお店教えてもらったんだ。翔太と涼太が幼なじみでさ。んで、何回か来るうちに俺も涼太と仲良くなった、ってわけ｣
『へえ…』
佐久間さん、彼女連れてきたりしてたのかな？
なんてよく分からない考えが頭をよぎる。
｢お待たせしましたぁ｣
ラウールくんが注文した料理を運んでくる。
『お、美味しそう』
これ涼太さんが作ったのか。
なんか、なんか分からんけど、負けた気がする。
｢ごゆっくりどうぞ｣
ラウールくんの会釈に合わせて私も小さく頭を下げる。
｢食べて食べて｣
『いただきます』
パスタをフォークに巻き付けてぱくり。
『美味しい』
｢でっしょー！？｣
佐久間さんが作ったわけじゃないのに目をキラキラさせて私を見る。
｢佐久間、うるさいよ｣
｢すいません｣
お店に出てきていた涼太さんに制されて静かになる。
怒られちゃった、と舌を出す佐久間さんはなんとも可愛い。
佐久間さんもいただきますと小さく言うとパスタを食べ始めた。
途中、佐久間さんが食べていたパスタを分けてもらったけれどそっちもとても美味しくて食べ終わる頃には毎日通いたいと思うほどになっていた。
『ご馳走様です』
そしてお礼なのに結局、佐久間さんにご馳走になってしまった。
「いえいえー。美味しかったねえ」
『とても美味しかったです。他の料理も食べたくなっちゃいました』
｢いつでも連れてくるから言ってよ｣
『はい』
「んじゃ、そろそろ帰りますかぁ」
再び車に乗り、私の家へと走り出した。
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作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2021年2月10日 17時
