検索窓
今日:6 hit、昨日:233 hit、合計:198,661 hit

気づかないで ページ12

「Aちゃん、ちょっといい?」

『はい』

お昼ご飯を食べて部署に戻ると麻里菜さんに呼ばれて給湯室へ。

「ごめんね急に」

『いえ、何かありましたか?』

「Aちゃんって、照のこと…好きでしょ」

『え…?』

「最近仲良く話してるのよく見るから、そうなのかなっ、て。いや、私の勘違いならいいの!」

ああ、悟られるな、私。

『岩本さんのことは…先輩として尊敬しています』

耐えろ、耐えるんだ、私。

『それ以上の感情はありません』

お願い、バレないで。

「そっか、よかった」

『当たり前じゃないですか。岩本さんには麻里菜さんがいます。私は2人とも尊敬の意味で大好きな先輩です』

「ごめんね、変なこと聞いちゃって」

『いえ』

麻里菜さんが出ていくと同時にその場にへたり込む。

泣きそうなのをぐっと堪える。

まさか、直接聞かれるなんて。

そんなに距離…縮まってるのかな?

私と岩本さん。

麻里菜さんに、不安な思いはさせられない。

バレたら、何もかも終わりだから。

気をつけないとな。


そこから岩本さんと話すことを控えるようになった。

無視するとか、愛想悪くするとかじゃなくて早めに話を切りあげる、とか、そういうこと。

「一条さん元気ないっすね」

仕事終わり、デスクでボーッとしていると隣に座っていた後輩の目黒くんが私の顔を覗き込む。

『別にそんなことないよ?』

私の目を見て心配そうにする目黒くんは…なんと言うか…顔がいい。

「俺、相談乗りましょうか?」

『悩んでるわけじゃないよ、別に』

「誰かに話したらスッキリするかもしれないですよ?」

『隣に座ってる後輩が漢字も分からなくてポンコツなのっていう相談だったらどうする?』

「…すいません」

『冗談よ』

目黒くんとそんなやりとりをして会社を出る。

いつものように電車に乗って家の最寄り駅で降りると頬に冷たいものが当たる。

『げ、雨じゃん』

激しくなる前に、と走って帰るも間に合わず土砂降りになってしまった。

『今日雨とか言ってなかったのに』

家に着く頃にはびっしょりになっていて気候の変化が激しい秋に体はこたえていた。

『寒すぎ』

岩本さん、濡れずに帰れたかな。

『…麻里菜さん車通勤だし、大丈夫か』

とりあえず急いでシャワーを浴びて体を温めることにした。

救世主再び→←ゆらりゆれる



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (330 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
393人がお気に入り
設定タグ:snowman , 雪男 , 佐久間大介   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年2月10日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。