74 ページ26
＿
「お前にぴったりな名前じゃないか」
「だからって今更笑美として生きるなんてできない。私には、お父さんがつけてくれたAっていう名前があるから」
「そうか」
煙草を口に加えたまま紫煙を吐き出して、大きな手で私の頭を撫でる。
私はこの人のこの手に、何度も助けられてここまできた。
約束も然り、まだ恩返しもできてないんだから離れるわけないじゃん。
「前に翔太に言われたんだ。血が繋がってることだけが親子なのかって」
「…」
「そうじゃないなって思った。私をここまで育てて、こんなに素敵な世界を見させてもらってる。紙面上では赤の他人かもしれないけど、私たちの心は繋がってる」
「…抱きしめさせて」
「それはキモいから普通に無理」
「なんでよ翔太はいいのにパパはダメなの!?」
「だって翔太は、…」
「…翔太は?」
「なんでもない…」
「あーら照れちゃって」
「…チッ」
「あ、いま舌打ちした?したよね!?」
「んもううるさい。煙草吸い終わったなら早く家の中入れよおっさん」
ギャーギャー騒ぐ彼を無理矢理家の中に入れて静かになったベランダに1人残った。
深く息を吐いて手すりに腕を置いて体重を預ける。
翔太の家の方を向いてフリーズした。
「よお、反抗期のお嬢さん」
「翔太…。いつから?声かけてよ」
「親子で楽しそうだったから邪魔しないように聞いてたんだよ、笑美チャン」
「結構前から聞いてるじゃん。ていうか笑美じゃない」
「えー、いいと思うけどなぁ」
「…」
「俺たちがいつか結婚して娘ができたら名前は笑美に決まりだな」
「は!?」
「ふは、うるさ」
「いや、だって翔太、」
「まあ落ち着けって」
暗いからよくわからないけど翔太の顔がほんのり赤いような…?
まだ付き合って1ヶ月程しか経ってないのにわからない未来の話なんかして。
以前の私なら絶対にバカバカしいと思っただろう。
だけど今は、ほんのちょっと嬉しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1030人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「SnowMan」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - みんみんさん» お久しぶりです。しょぴまるくんとよき青春恋愛ができたみたいでよかったです！ (5月6日 10時) (
レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - 久々に訪問することが出来ました！青くんの青春を一緒に堪能させてもらえて今胸がいっぱいです💙ヒロインというよりも、母の立場で感情移入しピュアで可愛い二人を応援しちゃいました。やっぱり涼さんのお話は最高ですね💘 (5月6日 1時) (レス) @page40 id: d946c1f5c6 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 修羅さん» お久しぶりです！ありがとうございます。結局ハピエンしか書けない涼さんでした！笑 なべふかフォーエバー！ (2023年4月18日 8時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
修羅(プロフ) - 久しぶりに感想書きます！めちゃめちゃ良い話でした‼︎君色コットンキャンディーと繋がってるとは思いませんでしたが…なべふか二人とも幸せになれてほんとよかったです‼︎流石のハピエン、ありがとうございます！ (2023年4月18日 0時) (レス) @page40 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 妄想女子さん» 古参や！笑 最初の方から愛読してくださりありがとうございます。これからもぜひ涼さんの事よろしくお願いしますね！！！！ (2023年4月8日 21時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2023年4月2日 18時
