プリンセスと9人の騎士

Last Story〜Koji.M〜 ページ41

「なぁ、起きてや」

優しい声が聞こえて目を開けるとびっくりした顔の康二。

「起きた…」

その顔は優しい笑顔に変わる。

「おはようお姫様」

『おはよう』



戦が終わり、気を失った私がこうして目を覚ましてから3年が経った。

「A〜っ！ほんまにお疲れ様」

『あり、がと』

私は康二と1年お付き合いをして、結婚した。

そして今、康二との子を出産した。

「元気な女の子ですよ〜」

「かわいぃぃいいいい！！！」

「康二泣きすぎだろ」

出産場所は、私が生まれたのと同じ病院。

「お疲れ」

つまり翔太の実家。

『翔太もありがと。来てくれて』

我が子の成長はとっても早くて、気づけば1歳半。

夏に生まれた娘。

元気に明るく、すくすく育ってほしい。

そんな願いを込めて太陽の「陽」と向日葵の「葵」を取って「陽葵」(ひなた)と名付けた。

「ひなちゃんかわいいでちゅね〜」

康二は親バカっぷりを大発動している。

育児にも積極的で私がしんどい時は康二が陽葵の面倒を見てくれる。

「ひなちゃん、ぱーぱ！は？」

陽葵は、んぱっと言ってキャッキャッと笑うだけ。

「まだあかんかぁ」

少しずつ何かを喋るようにはなってきたのだが、まだはっきりとは言葉を喋ったことがない。

『そんな焦らなくてもいつか呼んでくれるって』

「せやなぁ」

ちょっと拗ねているのか唇を尖らせたまま陽葵を抱きかかえる康二。

「ぱー、ぱ？」

「え」

『陽葵、今なんて言ったの？』

「ぱーぱっ！」

康二は陽葵の脇をかかえて立ち上がる。

無抵抗の陽葵は足がぷらーんとなってポカンとした表情。

「やったー！」

そのまま高い高いをすると楽しそうに笑っていた。



2歳を過ぎると1人で歩けるようになってもう大変。

ちょっと目を離せば蓮の部屋。

陽葵は蓮が大好き。

『面食いだなぁうちの子は。将来が心配』

「大きくなったら俺がもらってやろうか〜？」

「あかん！ダメや！」

「れんっ！ぎゅ！」

「はいはい。ぎゅーっ」

「ひなちゃーん！かむばぁぁぁああっく！」

「いや！」

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