ワンルーム【2】

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背中を押されて翔太くんの元へ。


日陰で座り込んでスマホを触っている彼にゆっくりと歩み寄った。


振り返ると舞ちゃんが隠れて私に手を振っている。




「翔太くん、」


「ん?んっ!?」


「…」


「見せに来てくれたんだ?これ」


「…!うん」




立ち上がって服の裾を少し摘むからドキドキしてしまう。




「似合ってるじゃん。かわいい」


「…あり、がと」


「他の男も見るのはちょっと気に食わねぇけど」


「え、」


「ちょい来て」




誰もいない建物の裏。




「おまじないしてあげる」


「おまじない?」


「そ。勝てるおまじない」


「なにっ…!」




翔太くんに両肩を優しく掴まれておでこにキスをひとつ落とされる。




「あ、え、」


「くはは、パニックじゃん」


「だっ、だって、え?」


「友達待ってるんじゃない?」


「待ってる、けど」


「行ってらっしゃい。頑張って」




ちゃんと見とくからと見送られて舞ちゃんの元へ。


一瞬見えなくなったけど何してたの?なんて言われて答えられるわけもなく曖昧にした。


キャッキャ騒ぎながら集合場所へ行くと、応援団長を務める岩本くんと目が合った。


今度は私が背中を押す番。


いい感じに青春している2人をこっそりスマホカメラに収めた。




「舞ちゃん」


「なに?」


「せっかくだから思い出に岩本くんと写真撮ったら?」


「撮りたい!照くんいい?」


「うんいいよ」




いつの間にか呼び方も変わってるし、もしかしていい感じ?


なんだかこっちがニヤけてきちゃう。




「じゃあ撮りまーす」




私のはいチーズの掛け声に、ダブルピースを向ける2人。


あとでさっきの写真と一緒に送ろうと決めた。

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