ワンルーム

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意識を取り戻した時にはすっかり西日が差していてかなり寝ていたことを知る。


ゆっくりと上半身を起こすと数学のプリントに長く引かれた1本の線。


我ながらちょっとニヤけてしまって消しゴムを手に取った。


そこで肩から何かが落ちて振り向くと翔太くん。




「…」


「ふっ、びっくりしてる」


「だって、」


「いつ気づくかなって気配消してみた。おはよ」


「…おはよう」


「ほっぺ赤い」


「…見ないで」


「いや、見る」




楽しそうに笑う翔太くんを無視してラグの上に落ちたものを拾えばブランケットで、きっと彼が掛けてくれたのだろう。




「翔太くんこれ、ありがとう」


「起こそうかなと思ったけど気持ちよさそうに寝てたから」


「…見た?」


「なにを?」


「…寝顔」


「なんかニヤッてしてた」


「え…!」


「うっそー」




眉間に皺を寄せて翔太くんを睨むけどまるで効果なし。


楽しそうにゲラゲラ笑う。




「かわいい顔して寝てたから安心しろ」




不思議だよね。


あなたの言葉で損ねたはずの機嫌は、再びあなたの言葉によって直ってしまうんだから。


上がってしまいそうな口角を隠すように再び前を向いた。




「英語、できてんじゃん」


「え、」


「惜しいとこ何ヶ所かあったけど、大体できてるよ」


「ほんとに!?」


「俺が前に教えたのと似たような問題は完璧だった」




ソファーから降りた彼は私の隣にしゃがみこむ。




「休みの日まで頑張ってえらいな」




そう言って優しく笑って頭を撫でてくれた。

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